最大市場インド攻略へ苦闘する農機のクボタ

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世界各国で特定分野の旗艦製品を育てるのがクボタの戦法だ。タイでは水田用トラクター、北米では富裕層向けのガーデニング用トラクター、中国ではコンバイン。特定分野でトップシェアを握り、そこからクボタブランドを浸透させていく。

そのクボタが満を持してインドに本格進出したのは09年。トラクターで世界最大のインド市場で「まずは数年で1万台」(飯田聡・機械海外本部長)を目指した。メインターゲットが最激戦区のトラクター市場とはいえ、わずか2%強のシェア目標は、クボタの実力からすれば高すぎるハードルではなかったはずだ。だが、3年経ってもインドでの年間販売台数は約500台にとどまった。

誤算はいくつもあった。

「インドの農村を全然わかっていなかったから、まあ売れるはずがないと思った」。こう明かすのは、08年ごろクボタ側から相談を受けた、現地の日本政府関係者。

インドのトラクター市場は現地メーカーが8割強のシェアを握る。未舗装の悪路を走っても故障しにくい頑強さと牽引力を持つ輸送兼用の現地ニーズに合った製品で、現地メーカーは一日の長がある。ニューホランド、ジョン・ディアの世界2強も攻略に手こずっている。首位は財閥系のマヒンドラ&マヒンドラ。有力自動車メーカーでもあるマヒンドラの名は国内に広く浸透している。


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