最大市場インド攻略へ苦闘する農機のクボタ

拡大
縮小
最大市場インド攻略へ苦闘する農機のクボタ

振り返れば、それは洗礼だった。2009年、初めてデリー空港に降り立った林繁雄・現クボタ農業機械インド社長は、思わず声を上げた。「トラクターが空港を走っている?!」

トラクターは作業器具を付け、田畑を耕すために使う「農機」である。だが、林氏のこの“常識”は一気に覆された。デリー空港内を走る大量のトラクターは、当然のように荷物を運搬していた。市内への道中、タクシーと並走する何台ものトラクター、牽引する運搬台車の上には10人以上がすし詰めで座っている。

この国ではトラクターは農機でなく、移動や運送の手段なのか──。大いなる成長市場のインドで「いざ売らん」と意気込んでいた林氏にとって、それは最初の衝撃だった。

最大市場のインド 襲いかかる数々の難問

農機で国内首位のクボタ。売上高1兆円(12年3月期、東洋経済予想)の7割を占めるのが機械事業でその中心が農機。機械事業の海外売上高比率は7割超、海外でも水田用の小型トラクターや田植え機、コンバインでの存在感はずば抜けている。


関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT