【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2012年2集--来13年3月期営業利益は19.6%増益に

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「会社四季報」2012年2集(3月12日発売)のデータを基にした独自集計によると、今2012年3月期の予想営業利益は、前期比17.8%減となる見通しだ。前11年3月期の実績である同48.1%増から大幅に悪化する。上期業績に大きな影響を与えた東日本大震災が響くうえ、欧州の債務問題から発展した世界経済の減速、中国の金融引き締め、タイ洪水影響も大きかった。来13年3月期は同19.6%増と増益を回復するが、伸び率は決して高いとはいえない。

業種別にみると銀行・保険を除く31業種中、17業種が前期比で営業減益・赤字となる。赤字が見込まれるのは海運と電気・ガス、そして証券。また、減益幅のワーストは、鉄鋼(56.2%減)。続いて、その他製品(56.1%減)、電気機器(38.7%減)、輸送用機器(27.7%減)の順で減益幅が大きい。

電気・ガスは業界18社で総額5298億円の赤字に転落。福島第1原子力発電所の事故の影響で全国の原発も相次いで稼働を停止し、再稼働への動きも難航している。このため、多くの電力各社で来期も赤字が見込まれる。また、海運は12社合計で931億円の赤字。世界各国で天災に見舞われ、輸送台数が激減。市況悪化が激しかった。期中に日経平均が8135円まで下落するなど、株式の売買が極端に細るなど、環境の厳しかった証券は39社で137億円の赤字となる。
 
 営業増益となる16業種中、増益幅が大きいのは、その他金融(約6倍)、空運(32.3%増)、鉱業(23.4%増)、卸売業(13.5%増)。業種の数でも減益・赤字組が勝り、国内産業を支える輸送用機器(自動車)や電気機器が大幅減益となるなど、産業界全体でも減益となる。

一方、来期を業種別にみると、営業減益・赤字となるのは2業種に減る。減益は石油・石炭製品(11.8%減)。電気・ガスは連続赤字の見通しだ。増益業種のうち、増益幅トップは今期の業績悪化要因となった海外市況が底打ちしている鉄鋼(79.7%増)。10月に予定される再編も利益を膨らましそうだ。その他製品(63.6%増)も今期大幅減益の反動。挽回生産の輸送用機器(62%増)などが続き、海運、証券は黒字転換が見込まれる。

■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載

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