セルジオ越後、日本代表の課題をなで斬り! シリア戦でチーム力の劣化が露呈した

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ハリルホジッチ監督はハーフタイムに修正を加えたらしいですが、はたして、どうでしょうね。今の日本代表は、先制してゆとりが生まれたり、相手の運動量が落ちたりしてからじゃないと、相手を崩せない、というのが現実なのではないですか。

──つまり、その程度のクオリティということでしょうか。

そうです。今の日本代表の中心は2014年のブラジル・ワールドカップで惨敗し、今年のアジアカップでもベスト8で敗退した選手たちで、ずっと結果を残せていない。しかも、長谷部(誠)や本田、長友(佑都)は年齢を考えても、これからグンと伸びることはなく、衰えていく一方です。実際、日本代表のチーム力も、ザッケローニ体制よりも落ちているように感じられます。

ですが、彼らからポジションを奪い取るような選手が出てこないのも事実です。ザッケローニ時代、アギーレ時代からサブの顔ぶれは入れ替わっていても、主力の顔ぶれは変わっておらず、チーム内で激しいレギュラー争いが行なわれていません。

たとえば、シリア戦ではサイドバックの長友や酒井(高徳)がセンタリングの精度に問題を抱えていました。彼らは所属クラブで試合に出られていないのだから、当然と言えば当然ですが、そんな選手たちをスタメンで起用せざるをえないのは、若手が育っていない証拠でしょう。

本来ならば、20代半ばとなるロンドン五輪世代の選手たちが「次は俺たちの番だ」という気迫を見せ、ポジションを奪い取らなければならないのに、レギュラーとして起用されているのは山口(蛍)ぐらいしかいない。ロンドン五輪世代やその下のリオデジャネイロ五輪世代の強化に本格的に乗り出さないと、ロシア・ワールドカップのあと、厳しい状況が待っています。

安定した力を発揮している岡崎

──では、この試合で評価できる選手はいましたか。

この試合のMVPは間違いなく岡崎でしょう。前半から走り回り、前線で体を張って戦っていました。PKを獲得したのは本当に大きかったし、岡崎が決めた2点目のゴールがシリアの選手たちに大きな精神的ダメージを与えたのはたしかでしょう。今の日本代表では岡崎ほど安定して力を発揮してくれる選手はいません。

ところが、メディアが持ち上げるのは、いつも本田や香川です。シリア戦後には選手たち自ら「出来は良くなかった」と言っているのに、メディアは「グループ首位のシリアに3-0で圧勝した」と報じている。僕にはまったく圧勝とは感じられませんでしたが。

強い相手から勝利を奪い、日本が首位に浮上したというストーリーで盛り上げたいんでしょうけど、そもそも日本が初戦でシンガポールに引き分けたから、首位を譲っていただけの話で、シリアが強いわけでも、日本が強いわけでもありません。

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