【産業天気図・通信業】携帯は番号ポータビリティの余韻残る。固定通信はNTTが攻勢加速し競争激化

携帯電話業界では昨年10月導入された番号ポータビリティ制度(MNP)で携帯電話会社の乗り換え需要が促され、端末販売の大幅増も見込まれたが、事前に業界で期待したほどの盛り上がりはなし。しかし、MNPを機に新料金体系を打ち出したソフトバンク<9984.東証>が健闘し、au(KDDI<9433.東証>)も順調にシェアを伸ばしているため、シェア5割超を誇るNTTドコモ<9437.東証>が苦戦している。ドコモは巻き返しへ春商戦に力を入れており、競争激化で携帯電話が昨年後半以上に活性化する可能性がある。
 ソフトバンクは今年1月投入した月額980円という破格の基本料設定「ホワイトプラン」が好調。auの勢いも続く見込みで、現状、ドコモの形勢は良くない。07年上期は06年度下期の賑わいの余韻を受けるが、下期まではさすがに続かず、反動がありそうだ。
 一方、固定系ブロードバンドサービスは、2010年に光3000万加入という大目標を掲げて「Bフレッツ」サービスの顧客拡大に邁進するNTT<9432.東証>グループの独壇場の感。07年度の光サービス新規顧客獲得目標数は、NTT東日本で200万契約、NTT西日本で140万契約。07年3月末の累計回線目標がNTT東西の合計で611万契約なので3000万獲得には遠いものの、08年には1000万回線へ到達する勢い。ただ、契約獲得に多額の販促費がかかっている。「Bフレッツ」を担うNTT東西ともに光顧客が増えても旧来の固定電話収入減が続くうえ、人件費や経費の削減も追い付かず、07年度は大幅減益へ。ドコモは若干ながら利益が回復するが、固定系通信会社の落ち込みは痛い。06年度に利益を大幅に増やしたシステム子会社NTTデータ<9613.東証>の勢いも一服する。その意味で、NTTグループ全体で見た07年度の営業利益は前年割れになる可能性もある。NTTの果敢な光化戦略で電気通信設備工事を担うコムシスホールディングス<1721.東証>や協和エクシオ<1951.東証>などの大手工事業者は順調に利益を伸ばしてきたが、NTTグループの中でドコモの基地局投資が一服する方向。その影響は避けられず、電気通信工事各社の07年度収益は鈍化すると見られている。
 NTTの光独走戦略を阻止しようと携帯電話に力を入れていたKDDIも、東京電力<9501.東証>の個人向け光サービス事業を統合し、07年から本腰を入れて顧客拡大を推し進める。東京電力が展開してきた光サービスは100億円以上の赤字を計上しているが、携帯電話の利益が拡大し、固定通信の採算も改善することから、KDDIの連結利益は増え続けよう。
 ソフトバンクは「ホワイトプラン」を武器に着実に新規顧客を取り込みそうだ。特に従来手薄だった法人向けの開拓を急ぐ。気掛かり材料は、ようやく黒字化したADSLによる固定系ネットワービス「ヤフーBB」の動向だ。NTTの光化で他のADSL事業者は軒並み会員数純減に陥っている。わずかながら新規顧客の積み上げを実現しているのはソフトバンクのみだが、光拡大に経営資源を投下するNTTの勢いはやはり脅威で、07年度中にADSLの「ヤフーBB」が純減となる可能性も否定できない。
【井下健悟記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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