【産業天気図・食料品】内食化で数量は伸びるが、油脂などの原料高が重く、海外では日本産の輸入規制も続く

予想天気
12年4月~12年9月 12年10月~13年3月

食品業界の12年度は、通期で「曇り」状態が続きそうだ。

東日本大震災から1年が経ち、キリンHDやマルハニチロHDなど甚大な被害を受けた企業の工場が、次々と復旧、移転を進め、供給量は安定している。震災特需は剥落しても、消費者の節約志向による内食化が追い風となっており、数量は堅調だ。

ただ、原材料の価格高騰が厳しい。日本コカ・コーラやサントリーHDなど、飲料メーカー各社は主要容器であるペットボトル原料の原油価格上昇で苦しんでいる。日清食品や森永製菓などの麺、菓子メーカーも、小麦やカカオ豆の価格高騰が重くのしかかる。各社は、物流費削減など徹底したコスト管理を続けるも、原料価格の上昇分を抑えきれない状況だ。例外的に製粉や食用油メーカーのように、原料価格上昇分を売価へ転嫁しやすい業界も存在するが、それでも急激な原料価格上昇に値上げが追いついていない。

新たな試練も待ち受けている。国内市場が縮小する中、近年は、内需型の食品メーカー各社も海外展開に取り組んできた。が、震災後は逆風が吹き荒れている。原発事故による食品の放射能汚染問題が発生し、中国を中心に海外では日本産の輸入規制が続いているのだ。

海外食品大手のネスレ(スイス)やダノン(フランス)が、本格的なアジア進出を進める中、輸出ストップはさらに日本勢の海外競争力を弱らせる可能性が高い。また、現地工場で生産した商品でも、日本ブランドを理由に避ける風評被害が起きている。そんな中、昨年12月には明治HD傘下で乳業最大手の明治の粉ミルク「ステップ」から最大31ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された。国内では、対象の約40万缶を無償交換したが、アジアを中心に日本ブランドより欧米ブランドが選ばれるようになってしまった。
 
 国内では数量が堅調に伸びていても、採算悪化材料が多く揃う厳しい市場環境が続く。

(張 子渓 =東洋経済オンライン)
 

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