スーパーチューズデーでも決め手とならず、米共和党予備選は長期戦へ【米大統領選・専門家の見方】

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予備選挙の長期化によってロムニー候補は対オバマで弱体化

08年の民主党予備選挙との違いは、今回の長期化がロムニー候補の弱体化につながっている点である。最近の世論調査では、「今、大統領選挙が行なわれればオバマ大統領に投票する」とする割合が、「ロムニー候補に投票する」という回答を引き離している。予備選挙が本格化する前は拮抗しており、予備選挙がロムニー候補の助けになっていないのは明らか。

来る大統領選挙に向けた「熱意」でも、民主党支持者の方が共和党支持者よりも高くなっているのが現状。こうした関係は昨年とは逆転しており、ここでも予備選挙は共和党のためになっていない。

対照的に08年の民主党の予備選挙では、先に指名獲得を決めた共和党のマケイン候補を、引き続きクリントン候補と指名を争っていたオバマ候補がほとんどの期間でリード。予備選挙の長期化が、民主党支持者の熱意をかきたてていた格好。

ロムニー候補にとって、保守派をひきつけるための「右旋回」は、本選挙に向けてマイナス。特に、強硬な不法移民対策がヒスパニックへの浸透を難しくする懸念がある。また、熾烈なネガティブ・キャンペーンがロムニー候補の好感度の重石になり、無党派層のロムニー離れが進んでいる気配がある。

現在の共和党の状況は陰鬱だが、「底」である可能性も

本選挙に向けた共和党関係者の認識は暗転。保守派コラムニストのジョージ・ウィル氏のように、「議会選挙を重視すべき」との発言も聞かれるようになった。「党の右傾化・分裂」が共和党劣勢の背景にあるとの議論もあり、「党の再生には大敗が必要」として、16年以降の復活を期待する声もある。ただしこの点では、「ロムニー候補による敗退では右傾化の見直しにはならず、引き続き路線争いが続く」との見解もある。

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