パルコの“嫁入り”先が見つかってよかった 森トラスト社長が語る、パルコ騒動の舞台裏

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パルコの“嫁入り”先が見つかってよかった--森トラスト社長が語る、パルコ騒動の舞台裏

2月下旬、ファッションビル大手、パルコの経営権をめぐる騒動が急展開を見せた。同社の筆頭株主である不動産大手、森トラストが保有株式のすべて(33%強)を百貨店大手のJ.フロント リテイリング(以下、Jフロント)に売却すると発表した。公正取引委員会の審査を通過すれば、パルコは3月下旬にもJフロントの持ち分法適用会社となる予定だ。

パルコをめぐっては、昨年2月までに流通大手のイオンが株式の12%強を取得。将来的な子会社化も念頭に、業務提携や当時の経営陣の刷新などを求めた。森トラストはイオンのこうした動きに同調し、パルコの平野秀一社長(当時)の退任を含めた株主共同提案を提出。これに対し、パルコ経営陣は徹底抗戦の構えを見せ、事態は泥沼化した。最終的には、平野社長の退任と引き換えに、共同提案は取り下げられ、パルコとイオンは業務提携に向けた話し合いを進めていくことになった。

ところが、騒動の第一幕から約1年後、事態は冒頭のような急展開を見せた。その裏側に何があったのか。騒動の渦中のキーマン、森トラストの森章社長に急展開の舞台裏を聞いた。

--昨年の共同提案取り下げから1年足らず、パルコをめぐって急展開がありました。その間の紆余曲折について、教えてください。

昨夏から、イオンとパルコは業務検討委員会でいろいろ打ち合わせをしてきた。これは今でも続いている。でも、両社はなかなかなじまない。得意とする分野が全然違う。ただ、イオンにとって、パルコは全然違うから欲しいわけだ。だから、合わないのは当たり前。それでも、パルコはイオンの子会社になることに反対だった。

パルコには買収防衛策がないので、理論上はTOB(株式公開買い付け)をかけられるが、役員会で決めないといけない。イオンから出向している役員は当事者だから数に入らない。われわれが派遣している役員2人も数に入らないかもしれない。パルコの役員会で反対になると、敵対的TOBになる。そうすると、今度は証券会社が受けない。だからTOBは難しい。

そこで、今年の1月ごろから次の株主総会をどうするか、考え始めた。同じ頃、森トラストが保有しているパルコ株33%のうち、21%を売ってくれないか、とイオンから打診を受けた。そうすると、保有順位は1位と2位が逆になる。ウチはもともと共同提案をしているくらいだから、「やりましょう」ということになった。

 

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