不況下の小売り優等生・アウトレットに異変 品定めするアパレル

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さらに、こうした状況はアウトレットの魅力自体を低下させる別の事態も引き起こしている。

もともとアウトレットは、アパレルブランドなどが都心の百貨店などで処分できなかった在庫商品を、値引きして販売するのが特徴。ところが、店舗数が増えるにつれて、近年「リーマンショック後に在庫圧縮が進み、(アウトレットに)回せる商品が減っている」(大手メーカー)。いきおい、売り場を維持するためにアウトレット向けの専門商品が作られ始め、中には「5割以上が専用商品になっている店もある」(同)。

だが、専用品の氾濫は目の肥えた消費者の客離れを招くおそれもある。今後さらに出店や増床が続けば、商品不足に拍車がかかり、アパレルだけでなく、アウトレット自らのクビを絞める事態にもなりかねない。

品定めするアパレル 2強以外は逆風も

こうした中、今後はアウトレットの中でも明暗が分かれることになるだろう。

一段と勢いを増しそうなのが、三井不動産とチェルシーの2強だ。すでに全国38カ所あるアウトレットの半数は両社が運営しているが、「会社帰りに立ち寄れる駅前施設、カジュアルブランドをそろえたスーパー隣接施設、レジャーと一体化し、幅広いブランドをそろえた郊外施設など、差別化すればアウトレット市場はまだまだある」(三井不動産・商業施設本部の清水聖主事)と今後の出店にも意欲を見せる。

実際、11年から13年の開店と増床のほとんどは、同社とチェルシーによるもの。怒濤の店舗拡大によってチェルシーの12年3月期の売上高は308億円、営業利益は87億円に上り、それぞれ5年前に比べて約70%膨らむ公算と、業績は順調に伸びている。

 

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