リアルに「リアルウコン」のマーケティング戦略を聞いてきた《それゆけ!カナモリさん》

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 ウコン飲料は医薬品ではないため効果効能は明示できない。しかし、消費者は効用を解釈して用いている。そのためウコン自体の説明はいらない。「美味しさ」。それに応えることにフォーカスすればいい。

その解は近年ブーム化している「炭酸」と根強いファン層を持つ「自社ならではの味」にあった。美味しく飲めるウコン飲料として、「REAL」ブランドを活用することが決定したのである。

■リアルウコンの4P(製品・価格・販売チャネル・プロモーション)

手に取ってもらうための製品価値
ウコン飲料の中核的価値は前述の通り、「二日酔い防止」であり、「翌日に残さない」である。それを実現する実体価値として新たに「美味しさ」という価値を加えた。

さらに、従来のウコン飲料が持っていなかった消費者にとって、さらにうれしい付随機能としてお酒を分解する成分として知られる「アラニン」を加えた。アラニンはしじみに含まれている健康成分で、専用のサプリメントや健康飲料も多く発売されている。それらの製品1回分の容量と同等の成分を加えたのである。美味しさ+さらなる健康成分がリアルウコンの強力な製品価値なのである。

手に取りやすい価格
先行商品のコンビニエンスストアでの希望小売価格は1本198円。それをリアルウコンは10円下げた188円というプライシングをした。たかが10円。されど10円である。

リアルウコンが狙うのは、従来のウコン飲料に手を出していない人である。手に取りやすい価格を設定することは極めて重要なのだ。ターゲットとの整合を図った価格設定である。

自販機チャネルの活用
日本には清涼飲料の自動販売機が約250万台ある。そのうち約100万台がコカ・コーラの自販機である。自販機は日本コカ・コーラの力の源泉であり、その販売チャネルを活用しない手はない。故に、主戦場であるコンビニ以外に自販機でもリアルウコンを販売している。

だからといって、全ての自販機に入れることは効率的ではない。1つの商品を入れるということは、他の商品を外すことを意味しているからだ。そこで、オフィスに設置されている自販機を狙った。商品特性から考えて、街のあちこちにある自販機で偶然見つけて飲むものではない。明らかな目的を持って、飲みに行く前や疲れた時に買われるという消費者行動との整合性を図っているのである。

「体験」と「場作り」を図るプロモーション
CMのセレブレティーは酒類商品のイメージが強くない、浅野忠信が起用された。そんな彼に、「ウコンは苦手」と明言させ、「美味い」と言わせる。明確にターゲットにパーセプションチェンジさせるメッセージである。

 

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