Cチャンの行く先は「世界的映像通信社」 動画サービス「C CHANNEL」の未来<2>

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──代表を務めるアブリオのことも伺います。こんなことができるといいなあという理想形はありますか。

理想を言うと、企画プロジェクトが先にあって、それをメディアに落とし込むということをやりたい。日本テレビで私が始めた「MOCO’Sキッチン」という企画は、『ZIP!』の中でスタートしてしまったため、番組の呪縛から離れられなくなってしまいました。

メディアポートフォリオを組み直したい

最初からマルチユースを考えた方がいい

しかし最初に「MOCO’Sキッチン」という企画が成立していて、地上波でそれを放送してもらうことができたならば、オリジナルコンテンツとしていろいろな使い方ができたはずです。レストランが作れるかもしれないし、機内食も作れるかもしれない。あるいはイベントになるかもしれない。テレビの外側にコンテンツがあったほうが可能性は広がるし、自由に展開ができます。

テレビはあくまでも放送波がゴール。日テレ時代の局の上層部からは、「その次を考えろ、二次利用を考えろ」とお尻をたたかれましたが、実は「二次利用」という風に考える時点で、すでに一次利用ありきの発想に縛られてしまっているんですね。それなら最初からマルチユースを考えた方がいい。コンテンツが外側になって、それを使う側としてのテレビや雑誌があれば、新しい使い方をできるかもしれないと考えています。

次にやりたいのはコンテンツのプランを持ち、きちんとコンテンツ化していろいろなメディアと組んでポートフォリオしながらコンテンツドライブさせていくこと。私が手がけた唐沢寿明主演の『ラストコップ』もその考え方で作りました。

アブリオがやろうとしていることは「思想」なので、1つか2つ、形を見せることによってきっと理解してもらえると思います。

昔はテレビや映画を作ることが最終ゴールだったが、今は違う。ユーザーがコンテンツを使いたい時に、使いたい方法で使えないといけない時代に変わりました。作り手や送り手が使い方を規定するのではなくユーザーに委ねるには、いろいろなメディアを横断的に使っていくことが必要です。

ただ、テレビも新聞も雑誌も、それぞれが独立して立ち上がった別組織なので、横串で刺すことができないんですよね。テレビも雑誌も代理店も、それがわかっているけどできない(笑)。それができればみんなウィンウィンになれるはずなのに。

本来そういうことを考えるのがプロデューサーという仕事だと思っている。おカネを集めて、人を集めてという、プロデュース業が、私の仕事なのかな、と。そんなことも考えています。

(撮影:今井康一)

高杉 公秀 フリーランス編集者

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たかすぎ きみひで

1966年、埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、出版社勤務。週刊誌や月刊誌の編集部を経て、2010年独立。フリーランスとしてさまざまなジャンルの記事執筆、単行本の企画を行う。

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