《プロに聞く!人事労務Q&A》ゴールデンウイーク中の残業代、休日出勤、特別手当などについて教えて下さい。

《プロに聞く!人事労務Q&A》ゴールデンウイーク中の残業代、休日出勤、特別手当などについて教えて下さい。

質問

今年のゴールデンウイーク期間中(4月28日〜5月6日)、バイト従業員には休日なしで1日当たり10時間勤務をしてもらう予定です。繁忙期であるため仕方のないことです。

時給は900円ですので、この9日間のバイト給料は900円×10時間×9日=81,000円でいいのでしょうか?それともバイト従業員にも残業代を払わなければならないのでしょうか?

また、ゴールデンウイーク期間中ということで、手当を支払う必要はありますか?バイト従業員は手当が出ることを期待しているようです。(飲食業:経理担当)


回答
回答者:鈴木社会保険労務士事務所 鈴木ひろみ

●法定労働時間は1日8時間
法律上の1日の労働時間は、8時間です(休憩時間を除く)。よって、8時間を超えて労働させる場合は、時間外労働の支払いが必要となります。

時間外労働に対する割増率は、2割5分以上となります。よって、1日当たりの賃金は、900円×8時間+900円×1.25×2時間=9,450円となります。

●1週間に1回以上は休日を付与する義務がある
法律上は、1週間に1回は、休日を付与する義務があります。休日を与えないことは法律違反になりますので、アルバイトの人でも、休日なしで働かせることはできません。

1週間に1回の休日を法定休日といいますが、法定休日に労働させた場合、この日は休日労働に該当し、休日の割り増し賃金が発生します。休日労働の場合の割増率は、その日1日の初めから3割5分以上となります。よって、法定休日に労働した日の賃金は、900円×1.35×10時間=12,150円となります。

1週間(7日間)のうちどこかに法定休日が発生しますので、9日間の労働日数のうち、少なくとも1日は法定休日の労働になってしまいます。よって、ゴルデンウイーク期間中の賃金は、9,450円×8日+12,150円=87,750円となるでしょう。

●変形労働時間制や変形休日制の導入で割り増しは不要になる
変形労働時間制には、1カ月単位の変形労働時間、フレックスタイム、1年単位の変形労働時間、1週間単位の非定型的変形労働時間があります。

このうち今回のご相談の場合は、1カ月単位の変形労働時間を導入するのが良いでしょう。

1カ月単位の変形労働時間とは、1カ月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えなければ、事前に決めておいた特定の日、特定の週において、法定労働時間を超えて労働させることができるものです。

この場合、特定の日、特定の週において法定労働時間を超えて働いても割り増し賃金は発生しないため、支払いは不要になります。

今回の場合は、ゴールデンウイーク期間を含めた1カ月の間で一定期間(1カ月や4週間等)を決め、その間1週間が平均8時間となるように、他の日の労働時間を少なくするなどして調整すれば、ゴールデンウィーク期間中に10時間労働していても割り増し賃金の支払いをしなくて済みます。

1カ月単位の変形労働時間制を導入する場合は、労使協定もしくは就業規則に【1】1カ月以内の一定期間を平均して1週40時間を超えない旨、【2】変形期間、【3】変形期間の起算日、【4】対象労働者の範囲、【5】変形期間の各日及び各週の労働時間、【6】協定の有効期間(労使協定の場合)を記載します。

また、労使協定でこの制度を導入する場合は、協定書を労働基準監督署へ届け出するとともに同じ内容の規定を就業規則にも定めます。

労使協定の規定だけでは、制度を導入することができるだけで、労使間の権利と義務が発生しません。就業規則に規定することで、変形労働時間制により労働する義務が生じます。

●変形休日制を導入すれば休日労働に該当しない
ゴールデンウイーク期間中は、連続して9日間有しますから、その間に法定休日(1週間に1回の休日)が生じます。そのため、休日労働の割り増し賃金が発生します。通常、休日は、1週間に1回の付与が義務づけられていますが、例外として4週間を通じて4日以上の休日を付与することもできます。これを変形休日制といいます。

変形休日制を導入するためには、就業規則において4日以上の休日を与えることとする4週間の起算日を明らかにすることが必要です。

●最後に
1カ月単位の変形労働時間制と変形休日制を使えば、ゴールデンウイーク期間において時間外労働等が発生しません。その結果、割り増し賃金の支払いも不要となるため手当等を支払う義務はありません。

ゴールデンウイーク期間中の労働だからといってこれといった手当を支払う義務はありません。しかし、会社で何らかの手当を支払いたいと考えているのであれば支払っても問題はありません。事前に支払う旨を伝えておけば、この期間の労働者の士気が上がる可能性もあります。

飲食業とのことですから、例えば大入り袋等のようなものを配ってもよいでしょう。

 

鈴木ひろみ(すずき・ひろみ)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒業。東映CM入社。TV-CMの製作進行、プロダクションマネージャーとしてTV-CMの企画・製作を担当。その後、ファッション雑誌編集者を経て、1995年に鈴木社会保険労務士事務所を開設。著書に「どうなるの?わたしたちの労働環境」、「得する年金損する年金 図解新年金制度」など。


(東洋経済HRオンライン編集部)

 

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