【産業天気図・ビール/飲料】ビールは消耗戦。飲料も安売り戦争復活の懸念

07年度もビール業界は「曇り」か。投資ファンドのスティールパートナーズからTOB提案を受けているサッポロホールディングス<2501.東証>は勝負に出ている。年初にプレミアムビール「エビスビール」を刷新し、苦戦の第3のビールでは「うまい生」を投入。さらに新製品投入を続けてシェア拡大を狙う。身の丈以上の販売促進費を使うため利益苦戦が予想されるが、TOB騒動で知名度が上がり、“同情買い”で数量が増えている。前半は波乱含みで推移しそうだ。
 アサヒビール<2502.東証>も発泡酒「本生」をリニューアル。メインの「スーパードライ」も強化し、キリンビール<2503.東証>とのビールのシェア差を広げるため広告販促攻勢を続ける見通し。7月に持ち株会社化するキリンも、今期はシェア拡大を最優先して3月にビール新製品「ザ・ゴールド」を発売。失速気味の第3のビール「のどごし〈生〉」を一層強化する可能性も考えられる。サントリー<非上場>もビール「プレミアムモルツ」を、エビスビールと同じ1300万箱販売する計画を進めている。これらビール4社はシェア拡大に向け、派手な広告販促による消耗戦を一層強めそうだ。総需要が縮小する中、弱肉強食の構図は変わらない。
 飲料業界も07年度は「曇り」。前期に大苦戦したコカ・コーラ各社は自販機強化と量販店のシェア拡大を志向。キリンビバレッジ(キリンビール子会社)も量販店の営業強化に乗り出し、大型PET容器の拡大を狙う。サントリーも手をこまねいていないだろう。
 また、飲料各社は緑茶飲料の刷新を進めており、アサヒ飲料<2598.東証>は「十六茶」を強化して、押されぎみの茶系飲料の巻き返しを図る。こうした動きは伊藤園<2593.東証>には追い風となろう。同社は緑茶市場急拡大の反動等で成長が鈍ったが、市場が再び活性化すれば、一時的に競争が強まっても、いずれ好影響が収益に反映されるからだ。
 このほか各社は、サントリー「黒烏龍茶」に代表される特定保健用食品などの高付加価値商品に力を入れる一方、量販店向けに大型PETの安売り競争を繰り広げると見られる。利益とシェア拡大の狭間で、難しい舵取りが求められよう。
【前田佳子記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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