提案型営業で攻める化粧品卸のミルボン、逆風業界でも業績好調の秘密《オール投資連載/注目の会社》

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もちろん、新製品の展開にも力を入れている。最近、提案営業で強力な武器になっているのが、10年に投入したヘアケア製品の「オージュア」だ。アイテムの豊富さなどが評価され、11年度末の取扱店は前期比43%増の761店に広がり、売上高も13・2億円(10年度末6・8億円)と倍近くに成長した。13年度には取扱店1200、売上高18億円の目標を掲げている。

環境保護の観点から、急速に関心が高まるオーガニック製品にも今年から取り組む。本場イタリアのメーカーと提携し、オーガニックブランド「ヴィラ ロドラ」を輸入。日本における市場規模は小さいが、佐藤社長は「今年は(同製品の販売で)成功するサロンを作りたい」と意欲をみせる。

国内の飽和状態を見据えアジア開拓も積極化

さらに、日本で培った教育支援のノウハウを生かし、アジア市場の開拓にも本腰を入れ始めた。アジア初進出は07年。中国・上海に現地法人を設立し、09年には韓国にも現法を立ち上げた。当時から各国には、仏ロレアル、独ウエラといった世界を代表する大企業が参入していた。だが、ミルボンのようなコンサル型営業の会社は現在もない。中国、韓国両国での売上高は2ケタ成長を続けている。

今年3月にはタイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、トルコに社員が駐在し、各国の「サロン文化」に関する情報収集を開始。また、14年にはタイの生産拠点が稼働し、アジアの「製販一体」態勢が整う見通しだ。国内市場が成熟化する中、海外に活路を求めなければ生き残りは難しい。美容院に「あれこれと口出しする」教育支援サービスは海外でも通用するか。アジア展開の成否が、成長のカギとなるのは間違いないだろう。

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(長瀧菜摘 =オール投資2012年3月1日号)

記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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