神戸製鋼の時価総額は、なぜ半減したのか 屋台骨を襲った2つの"想定外"

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中国にある建機工場は組み立てだけでなく、部品ラインも操業を落としている

「見通しが甘かったか?と聞かれれば確かに甘かったかもしれない」――。鉄鋼メーカー大手、神戸製鋼所のある幹部は、そう答える。

神戸製鋼の株価が急落している。2月27日に240円の高値をつけてから、9月29日に125円の年初来安値を更新。半年余りで、時価総額は約8700億円から4500億円へほぼ半減した計算になる。

株価が急落した要因は、同社が9月28日に発表した業績の下方修正にある。それまで2015年度の通期営業利益(連結)を1250億円と予想していたが、950億円へ減額した(前期実績は1194億円)。下方修正の要因は2つの“想定外”が屋台骨を直撃した点にある。

鉄鋼と建機が足を引っ張る

まずは鉄鋼事業で起きた生産トラブルだ。7月下旬に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)で、変電所のトラブルにより製鉄所内の一部で停電が発生。操業回復の対策費用やその後修繕費を積み増したこともあり100億円近い減益要因となっている。

それ以上に悩みのタネとなっているのが建機事業の減速だ。4月下旬に発表した計画で建機部門の利益を200億円(前期実績は210億円)と見込んでいたが、中国での販売不振を理由に7月の時点で100億円に下方修正。さらに29日時点で30億円にまで、もう一段減額している。

中国は2008年から2009年にかけて、中国は4兆元(当時のレートで約57兆円)にも上る景気対策を実施。膨大な建築需要を追い風に、中国の建機販売は世界最大市場になったが、直近の景気減速を受けて、市場規模は急縮小。「かつて20万台近くあった市場が、14年は5万台に低迷。今年は3万台を割り込みそうだ」(建機部門の首脳)。

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