世界のコーヒー会社が、中国で熾烈な豆争奪戦

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「現在、ネスレが中国で販売しているコーヒーのうち、小粒のコーヒー原料は雲南で作れるようになり、さらに輸出もできる」と、デコルベット氏は雲南との覚書をさらに拡大する意向を明らかにした。

五カ年計画でコーヒー豆増産

そもそも雲南で、プーアル茶を生産していた現地農家がなぜ、コーヒー生産に乗り出したのか。2007年ごろ、プーアル茶が投機的な相場展開になったことがある。価格が乱高下し、地元農家は天国と地獄を味わった。そのとき、「すべての卵を一つのかごに入れるべきではない」との教訓を得た。以来、それまで「人も牛も馬も食わなかった」コーヒーが注目の的となり、プーアル茶に次ぐ新たな産業となった。

現在、世界の5大コーヒーメーカー(ネスレ、米マックスウェル、米クラフト、独ニューマン、イタリア・イカム)はすべて雲南に進出し、ここでコーヒーを作り出荷している。日本のUCC上島珈琲やシンガポール、台湾などのコーヒー関連企業もこぞって雲南に乗り出している。最近では「後谷」「景藍」「桑莱特」など、現地の有力コーヒーブランドも出てきた。雲南ではコーヒー産業の基盤が整ったといえる。

世界には現在100余りのコーヒー品種があり、最も商業的価値を持っているのは、小粒種と中粒種。雲南は、世界でいちばん有名なコーヒー産地コロンビアと同じ低緯度地域
にあり、小粒種コーヒーの生産に適しているといわれる。

プーアル市の楊衛東副市長によると、11年10月現在、同市での小粒種コーヒーの作付面積は42・5万モ(中国の土地単位1モ〈畝〉は666平方メートル)であり、雲南省全体の65・8%を占める。11年の生産量は2・85万トンで、全国の57・5%を占めている。その売上高は、8・55億元にも上るという。中国における11年からの第12次五カ年計画期間中に、雲南省ではコーヒー産業に30億元を投資し、コーヒー豆の生産量を年20万トンまで増やすとしている。この5年間で、雲南のコーヒー産業は大きく発展していくだろう。

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