新型リーダーを生み出すエネルギーが自民党にあるか

新型リーダーを生み出すエネルギーが自民党にあるか

塩田潮

 18~19日に実施された共同通信の世論調査で、野田内閣の支持率が初めて20%台に下落した。他方、自民党は政党支持率で18.2%となり、16.8%の民主党を上回ったが、「支持政党なし」が46.7%に達した。このままだと、民自両党は低空飛行のまま次期総選挙を迎え、大人気の大阪維新の会など、第3勢力に政権を奪われる可能性も出てきた。

 もう一つ、自民党にショッキングな数字が出た。20日発表の日本経済新聞などの世論調査で、消費増税の与野党協議拒否という対応について、「納得できない」が61%に上った。

 民主党政権の立ち往生で、政権奪還が見えてきた谷垣総裁だが、「手詰まり」「袋小路」を余儀なくされている。政党交付金や寄付金の大幅減で、台所事情が苦しいのに、早期総選挙に持ち込めない。「初の本格的野党」は逆に党再生の好機だが、党内の派閥事情や路線対立はいまも根強く、「ニュー自民党」の姿を示せないまま2年半が過ぎた。

 野田首相と同じく、9月に党首の任期満了を迎える谷垣総裁は、昨年、政調会長と総務会長を交代させたが、総裁再選を意識した党内融和優先人事と酷評を浴びた。次期総裁選には、谷垣総裁のほか、安倍元首相、石原幹事長、町村元官房長官、石破氏、小池氏、参議院議員の林元防衛相らの出馬が取り沙汰されている。森元首相は谷垣総裁の与野党協議拒否路線を批判しているが、同じ派の町村氏擁立の地ならしという見方もある。

 石原都知事を中心とした「石原新党」の動きは、大阪の橋下市長と関係が注目を集めているが、一方で息子の石原幹事長の政権獲得をにらんだ父子連携の高等戦術と読む人もいる。

 自民党再生は、大阪維新の会のように、新しい路線と政策を掲げて「この指止まれ」方式で「ニュー自民党」に生まれ変わるのが成功の道である。

 だが、どの総裁候補もそれには及び腰だ。路線や政策の選択よりも、派閥間の合従連衡や多数派工作といった旧来型を重視する傾向がいまだに強い。

 総裁選まで半年余、混沌とした政情の中で、高らかに旗を掲げ、新しい人材の結集を目指す指導者が現れれば、一気に「自民党維新」が国民の関心を集める可能性があるが、新型リーダーを生み出すエネルギーが自民党にあるかどうか。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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