同性愛カップルを悩ます子供の「新学期問題」 好奇心や無知にどう向き合うべきか

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ある女の子は「ほかの子供たちから家族のことを言われるのはちょっと嫌だけれど、自分のことをどうこう言われているとは思わない。だって私が選んだわけではないから」と語った。その一方で彼女は「2人のママがいて幸せ」と言う。別の子は、「うちはとことん仲良しの虹色家族」だと言う。

親を心配させないようにと考える子供も

専門家によれば、同性愛カップルの子供たちは周囲に家族のことを説明する「小さな大使」の役割を果たすようになる例も多いという。

だが、養子を育てているカップル(同性愛者に限らない)について研究しているクラーク大学(マサチューセッツ州)のアビー・ゴールドバーグ准教授(心理学)によれば、中学生や高校生、つまり親に話をあまりしなくなる年代になった子供たちが、ほかの子供たちからどう扱われているかについてはわかっていない点も多い。成長するにつれ、子供たちは「同性愛者に対する偏見について親に話すのをためらうようになるかもしれない。親を心配させないために」とゴールドバーグは言う。

コネティカット州に住むケビン・ディックスには6歳の娘がいる。ディックスは自らも認める「過保護な親」で、親が学校に気軽に顔を出せなくなる日が来るのを怖れている。昨年度、彼は週に1時間、娘の教室でボランティアをしていた。

ディックスを中心に少人数のグループで本について話し合っていたときのこと。ある男の子がこう言った。「女の子同士は結婚できないんだよ。結婚できるのは男の子と女の子だけだ」

ディックスがどう答えようか考えていると、女の子が割り込んできてこう言った。「女の子同士だって結婚できるよ。男の子と男の子でもできるし」

今年度もディックスは娘のクラスで先生の手伝いをする予定だ。

「娘のことになるとちょっと心配性になってしまう」と彼は言った。「私が同性愛者であるせいで娘が嫌な目にあうのは避けたい。誰かが私の性的志向を気にしたとしても、それは私と彼らの問題であって、娘とは関係ないのだから」

(執筆:Roni Caryn Rabin記者、翻訳:村井裕美)

Ⓒ2015 New York Times News Service

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