就業率85%!フランス女性「働き方」の秘密 すべてを自分で抱えこんだりしない

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パリに到着し、タクシーでホテルへ向かおうと乗り場へ。バカンスから戻った人がここでも長蛇の列を作っている。ところが、タクシーが少ない。運転手もバカンスをとっているからだ。30分待って、ようやく乗り込むことができた。

レジ係が殺気立つ閉店間際のスーパー

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8月のパリはオペラもバレエも休演。オーケストラのコンサートも休演。有名レストランも休業中。知らずに来た旅行者は、とまどうことだろう。多くの個人商店もバカンスで休業している中、スーパーは通常通り営業している。うっかり閉店間際に入ったスーパーで、働く人の真情も垣間見た。

そのスーパーは午後9時閉店なのだが、日本のスーパー並みにもっと遅い時間と勘違いし、のんびりおみやげをカゴに入れていた。すると警備員が近寄ってきて、「レジを閉める」と告げる。時計の針は午後8時50分を指している。おみやげ満載のカゴを持って、慌ててレジに向かうと、4つほどのレジにお客が数人ずつ並んでいる。

うちひとつに並ぼうとすると、レジ係が「閉鎖」という札を出して阻止する。午後9時までに会計できなかったら、カゴの中身を置いて店を出ないといけないのだろうか。「閉鎖」でないところに並ぶと、レジ係が「ここはカードか小切手専用のレジだけど」。幸い、クレジットカードを持っていた。順番を待っている間に、別の女性レジ係が警備員に怒鳴る。

「まだ、店内に大勢人が残っているの?!」

殺気立った雰囲気の中、どうにか午後9時までに会計を済ますことができた。広い店内に閉じ込められては大変と、急ぎ足で店を出る。働く人の権利を守るためには、買い物の時間も考慮しなくてはいけないのだ。

にぎやかな大家族に、管轄外の「仕事」をしてくれた駅長、時間通りに仕事を終えようとキリキリしているレジ係。短期間の旅行者にも、フランスは多様な顔を見せてくれた。

国末 則子 フリーライター

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くにすえ のりこ / Noriko Kunisue

フリーライター。東洋経済新報社、朝日新聞記者を経てフリーライターになる。2001~2004年、2007~2010年の2度にわたってパリに滞在し、2人の子どもを現地校に通わせた。著書に『パリの朝食はいつもカフェオレとバゲット』(プレジデント社)。
 

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