百花繚乱、スタートアップ企業の新サービス《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命 第6回》

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まず、IT革新による参入コストの低減が背景にある。クラウドの利用、ソーシャルメディアの外部APIの公開、スマートフォンアプリの開発環境の充実などによって、システムの初期開発に必要とされる投資額が大幅に減少している。ソーシャルメディアを利用すれば、世界中に広告費をかけないプロモーションも実施できるようになった。銀行などからの融資額が少なくても、最小限の資金、人数、期間でビジネスを立ち上げられる環境がそろっている。

さらに、今後は現実の世界のすべての商品がネットにつながる方向性で動いている。「ネット(オンライン)とリアル(オフライン)の融合」を利用したサービスの機会が限りなく広がっている。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務める伊藤穣一氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に「イノベーションを迫られ続けるオープンソース社会」というコラムで次のように述べている。

「現在では大抵の場合、何かを試すべきかどうかを無駄に考えるよりも、ただ試してみるほうが安上がりだ」

まさに、至言。

大企業のように、ありとあらゆるリスクを想定して事業プランを作るような悠長なやり方では、新しいITビジネスは生み出しづらい。小規模でスタートし、市場の声を聞き、フィードバックを受けながらビジネスを修正していく「リーン・スタートアップ」という方法論が、注目されている。予測不能な世の中において、「走りながら考える」ことが、企業生き残りの有効な手段となっている。

日本のネット広告ビジネスの先駆け、サイバーエージェントは、スタートアップ企業への支援に積極的だ。子会社のサイバーエージェントベンチャーズは、スタートアップ企業への支援プログラムを展開しており、実際、そこからO2Oの新サービスが立ち上がっている。

11年8月29日、この支援を受け、インサイト・プラス社は、「Shopping+(ショッピングプラス)」という商品にチェックインできるサービスを開始した。店頭で商品のバーコードをスキャンした後、チェックインボタンを押し、店頭価格や口コミをソーシャルメディアの利用者間で共有できるというもの。

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