いすゞ自動車がアジア市場に攻勢、インドネシアへも進出

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いすゞのこれまでの事業構造は日本では商用トラック、タイではピックアップトラックを中心に生産、という2極体制。これを今後は、先進国向けの商用トラックは日本で、新興国向け商用トラックはインドネシア、そしてピックアップはタイで生産、というグローバル3極体制へと構造転換を図っていく計画だ。

「もともとインドネシアは三菱ふそうと日野自動車の牙城だったが、いすゞも商用トラックの拠点をつくることにした」。中計発表の席上で細井行社長は力強く語った。ライバルの三菱ふそうや日野は、インドネシアで先行している。10年度のインドネシアにおける販売シェアは、大型・中型トラック1位は日野(58%)、小型トラック1位は三菱ふそう(55%)。まさにライバル2社が最重要と位置づける地域。この肥沃なマーケットを、ただ横目で見ているわけにはいかないというわけだ。

インドネシアの拠点化表明を受け、いすゞ系サプライヤーの動きも活発だ。いすゞ向けにラジエーターを供給する東京ラヂエーター製造は昨年末、東南アジア初進出の拠点をインドネシアに建設すると発表。車軸部品をいすゞに供給する自動車部品工業も既存のインドネシア工場の増強を検討している。以前からインドネシアに工場を構える系列サプライヤーの存在も、いすゞのインドネシア進出を後押しした格好だ。

いすゞでは、インドネシアでの出荷台数を、前期の3・8万台から16年3月期には8・1万台へと2倍以上に増やす計画。また、世界出荷台数も16年3月期に100万台(11年3月期比67%増)を目標として掲げている(図)。

多くの逆境をはね返した11年。12年以降は、主力車種の生産拡大と新興国戦略を加速させる。いすゞは自らが描く青写真の実現へと着実に歩を進めている。

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(又吉龍吾 =オール投資2012年2月15日号)

記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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