日本株は新三本の矢がイマイチでも上昇する 短期的に波乱の可能性は残るが方向は見えた

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アメリカの景気指標が誰も文句の出ないような良いものばかりで、それによって利上げを指示するものなら、分かりやすい株式相場(いわゆる業績相場)になる。だが、例えば代表的な指標の一つであるISM製造業景気指数は、6月53.5、7月52.7、8月51.1と低下して来ている。また、ミシガン大学消費者信頼感指数も、同じように6月96.1、7月93.1、8月91.9、9月85.7とジリジリ低下している。

だが一方で、例えばこの間の新規住宅着工は約120万戸(7月の年率換算)に乗せた。また失業率も5.1%(8月)と、住宅・雇用の指標は絶好調である。これではアメリカの景気は良いのか悪いのか、はっきりしない。

このような時、イエレン議長が曖昧な態度を取り続けると、投資家は迷うだけだ。今回、イエレン議長自身の考えをはっきりさせたのは、マーケットにとって良いことだと筆者は考える。

意外に健闘する欧州、中国も経済減速を織り込んだ

また、イエレン議長が「現時点で金融政策の方向性に大きな変更を与えるほどではない」と修正したように、海外の情勢はそれほど悪くない。

例えば、ドイツIFO経済研究所が24日発表した9月のドイツ業況指数は108.5となり、8月の108.4(改定値)から上昇、5月以来の高い水準となった。業況指数の上昇は3カ月連続で、製造業PMI(購買者担当指数)も50を上回り続けており、8月には53.3と今年最高値を記録している。

フォルクスワーゲン(VW)の不正問題で、さすがにDAX指数は年初来安値となってしまったが、中国経済の減速懸念にもかかわらず、ドイツ企業が楽観的な見方をしていること分かる。実はドイツだけでなく、欧州ではイギリスやイタリアも悪くない。移民問題やVW問題で、イタリアの10年債利回りが2%に乗せたものの、アメリカのそれよりもまだ低金利である。

一方、中国の景気減速も、中国株の動きに見られるように、ほぼ織り込んだのではないか。新常態(ニューノーマル)と称する7%前後の成長は、結果として7%に届かなかったとしても、世界第2の大国の成長としては、非難されるものではないはずだ。

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