【産業天気図・電子部品】デジタル家電、ゲーム機、自動車向けなど好調続く

拡大
縮小

電子部品業界はデジタル情報家電の拡大や自動車電装化などの流れに乗って全般堅調な業況が続いており、07年度も拡大が続こう。『会社四季報』春号の07年度予想では、大手各社がそろって増収増益になる見込みだ(下掲の表参照)。
 電子情報産業協会調べの電子部品グローバル出荷統計によると、出荷額は05年3月から直近公表の06年12月まで22カ月連続の対前年比プラスを記録している。コンデンサーなどの受動部品、コネクター、スイッチなどの接続部品、電源や高周波部品などの好調が続いている。低調なのはヘッド、ピックアップぐらいだ。
 村田製作所は大容量コンデンサー中心に表面波フィルターやデジカメ手振れ防止用ジャイロセンサーなどが伸長。TDK、太陽誘電もPC向けなどのコンデンサーが拡大へ。新型ゲーム機向けの部品需要も旺盛でミツミ電機はゲーム機コントローラーが好調、07年度も伸びが続く。HDDモーターの日本電産もゲーム機向けが牽引役の一つとなっている。水晶デバイスでも日本電波工業は携帯電話や自動車向けを中心に07年度も増産投資を続け、拡大基調にある。
 村田を始めとする業界筋の話を総合すると、07年度は業界全体の成長率は若干落ちそうだが、引き続き堅調な伸びが期待される。液晶を中心とした薄型テレビや携帯電話、PCなどの関連最終製品はいずれも2ケタの伸びが見込め、特に大容量化が進むコンデンサーは総需要がさらに2~3割増える勢い。北京五輪効果も徐々に発現、第3世代携帯電話の国際的普及やPCのデュアルコア化なども重なり、部品点数が増える傾向が続く、と見られている。
 ただ、リスク要因もある。円高進行や米国経済の減速、単価下落などだ。仮にマクロ環境に大きな変化がなく、単価下落も5~10%程度で済むとの前提を置くならば、増産効果も発揮しながら業界は総じて増収増益路線を継続しよう。

 ●主要各社の業績予想(前期比増減率、『会社四季報』予想ベース)
             07年3月期          08年3月期
            売上高  営業利益       売上高  営業利益
京セラ          7%   29%        4%    5%
<6971.東証>
TDK          7%   36%        7%   12%
<6762.東証>
アルプス電気      ▲2%  ▲52%        1%    9%
<6770.東証>
日東電工        10%  ▲16%        9%    4%
<6988.東証>
日本電産        12%   22%       20%   19%
<6594.東証>
村田製作所       15%   24%       10%    8%
<6981.東証>
ローム          3%    8%        3%    2%
<6963.東証>
ミツミ電機       17%  400%       13%   15%
<6767.東証>
太陽誘電        17%  200%        7%   15%
<6976.東証>
日本ケミコン      12%   50%        7%   23%
<6997.東証>
ニチコン        10%   12%        4%    6%  
<6996.東証>
ヒロセ電機       11%    4%        9%    9%   
<6806.東証>
エプソントヨコム   116%   92%       10%   13%  
<6708.東証>
日本電波工業      13%   79%       11%   17%
<6779.東証>

【中村稔記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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