安保法成立で大転換、「危険度」増す自衛隊員 法律にも実際の運用にも問題点は多い

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参議院での審議は”一人牛歩”などパフォーマンスばかり目立ち、与野党ともに深い議論は起こらなかった(写真:新華社/アフロ)

9月19日未明。ついに安全保障関連法が参議院本会議で可決・成立した。集団的自衛権を法制化したことで、日本の安全保障政策において歴史的転換になるものだ。同法はどのように運用されることになるのか。

安倍晋三内閣は衆参両議院の審議でさまざまなシナリオを提示してきた。が、現状で最も現実的なのは、朝鮮半島有事、すなわち北朝鮮の軍事行動にどう備えるかだ。北朝鮮は9月に核施設の再稼働を表明、衛星打ち上げの可能性も示唆するなど、同様の軍事的発言・挑発を繰り返している。仮に朝鮮半島有事が生じたケースを考えてみよう。

朝鮮半島有事でどうなるか

20××年、北朝鮮に不測の事態が起き、南北間の軍事的緊張が高まった。在韓米軍も動き、自衛隊による物資輸送、燃料補給などの後方支援を要求。これを受け日本政府は、改正重要影響事態法における「重要影響事態」と見なし、護衛艦など海上自衛隊の艦船を、米艦船への給油・物資支援を行うために派遣することができる(事態1)。

その後事態が悪化し、北朝鮮がミサイルで挑発。米艦船への攻撃も辞さなくなってきた。米艦船だけでなく、長距離ミサイルなどで、在日米軍への攻撃の可能性も浮上する。発射の兆候が見られた場合、国の存立や国民の権利が脅かされる「存立危機事態」と判断。国会の承認を経て、自衛隊に防衛出動を命じることができる(事態2)。

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