東芝、白モノ家電で中国企業と組む意味 お荷物の家電事業を止血できるか

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やっと改革に着手することになった白モノ家電だが、これで他の家電の不安要素がなくなるわけではない。白モノ家電やテレビ、PCの含まれるライフスタイル事業全体は、2015年3月期、売上高が1兆1637億円、営業損益は1097億円の赤字に沈んだ。撤退損失などの特殊費用を除いても、PCは150億円の赤字で、テレビは90億円の赤字である。

テレビやPCの場合、白モノ家電よりも長く赤字が続いてきた。そのためテレビは、北米と欧州において、台湾のコンパル社へのブランド供与ビジネスに切り替え。PCも個人用を縮小し、法人用を軸にするなど、再編を進めている。ただ、2016年3月期第1四半期、テレビとPCはそれぞれ70億円前後の赤字を計上しており、止血が進んだとはとても言えない。

9月7日に2015年3月期の決算を発表した際、白モノ家電やテレビ、PCなどのライフスタイル事業について、室町社長は、「制約を設けない大胆な構造改革をしたい」と明言。前述した通り、その後14日の会見時に国内撤退も示唆しており、構造改革が少しずつ具現化したようだ。

今回の構造改革はあくまでも、白モノ家電事業であり、中国での見直しに限った話。完全に止血するため、いよいよ国内撤退も視野に入れた、さらなる改革の方向性は示せるのか。室町社長の決断力が試されている。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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