10月1日に内定式をできない企業が続出する 秋採用における人事部の苦戦必至

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昔は指定校制があって、企業は指定校以外から採用しなかった。しかし、最近では指定校制を取っていると、「学歴差別」などと非難されかねない。そこで、明確な指定校制を敷いている企業はないのだが、ターゲットとする大学を定めている企業は多い。大手企業の56%、中堅企業の52%がターゲット大学を設定しているし、従業員数300人以下の中小企業でも41%が設定している。

ターゲット大学として人気があるのは、GMARCH関関同立クラス(学習院、明治、青山、立教、中央、法政、関学、関大、同志社、立命館)。HR総研は、今後、このクラスの採用難度が高まっていくと予想する。

どうなる2017年新卒採用

2017年新卒(現3年生)採用では、企業と大学・学生の接触がより多くなるのと同時に、早期化が進むだろう。

「2017年新卒採用でより重要になると思う施策は何か」との企業への質問に対して、最も回答が多かったのは「学内企業セミナー」、第2位が「自社セミナー・説明会」、第3位が「キャリアセンターとの関係強化」だった。

また、企業規模に関係なく、インターンシップを行う企業が増加する。2016年新卒採用ではインターンシップ実施企業は46%だったが、HR総研は2017新卒採用で大手企業の7割以上が実施すると予想している。実施時期は12~2月が多い。

面接開始時期のピークは3~5月。経団連のルールに縛られるはずの大手企業でさえ、8月まで待ちきれずに3月からスタートすると答えた企業が多い。

調査結果から、2017年卒の採用スケジュールは以下のようになるのではないか。

企業の採用担当者は夏休み明けからターゲット大学のキャリアセンターを訪問し関係を強化、その後学内セミナーを開催し、インターンシップへ学生を誘導する。そして2月までのインターンシップで母集団を形成したら、3月から面接を開始して早ければ4月から内定を出す。調査によれば、8月以降に内定出しを開始すると答えたのは、大手企業の22%に過ぎない。2016年新卒採用で苦戦した大手企業が、採用活動を早めるとみて間違いないようだ。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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