文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を

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このように元号は本来中国のものであり、日本古来の文化ではない。

また、日本の元号法には「元号は、政令で定める」「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」とあるのみで、強制規定はない。

現在、世界で元号を使用している国は日本だけで、本家の中国でも清朝の「宣統」を最後に消滅している。

わが国では、石橋湛山がすでに『東洋経済新報』46年1月12日号で元号廃止・西暦使用を主張している。

政府の元号に対する考え方は、「国民又は国・地方公共団体等の公的機関に対し、一般に元号の使用を強制する法令は存在しないと考える」「国・地方公共団体等の公的機関の事務については、従来から年の表示には原則として元号を使用することを慣行としてきている。したがつて、一般国民から公的機関への届出等においては、公務の統一的な処理のために、書類の年の表示には元号を用いるよう一般国民の協力を求めてきているが、このような考え方は今日においても変わりがない」(参議院に提出された野田哲議員の質問主意書に対する中曽根康弘首相の答弁書-87年4月10日付)というものだ。

だが、たとえ、「元号の使用を強制する法令は存在しな」くとも、国から「一般国民の協力を求め」られれば、企業や自治体などは従わざるをえないというのが実態だろう。

元号は廃止するのがベストだが、文化財的観点から存続させたとしても、文書は最低限西暦を併記し、統計類からは元号を一掃すべきだ。

(シニアライター:福永 宏 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年2月4日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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