苦境に立つ野村ホールディングス、脱「リーマン」へ転換

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世界ランク急下降 消滅した得意市場

野村は買収したリーマン社員の報酬を従来水準で1~2年保証するなど、人材流出を防ぐため必要以上に気を使ってきた。結果的に悪環境の中で高コスト体質を引きずり、海外部門の赤字が定着した。

「リーマンが得意とする市場も消滅した」(外資系アナリスト)。かつてのリーマンは証券化商品など複雑な金融商品のトレーディングに強く、自己勘定取引にのめり込んで破綻した。今ではそうした複雑かつリスキーな商品は顧客の投資家が寄り付かなくなり、自己勘定で相場を張ることも規制強化でままならない。

そのため、より単純な金融商品の対顧客取引へ傾斜したが、リスクは小さい反面、競争が激しくマージンが低い。顧客の注文量も欧州危機で激減。米国が導入を予定している「ボルカールール」など金融規制強化は長期的な流れであり、欧州危機による市場の混迷も政策対応次第ではそうとう長引くおそれが強い。

トレーディング以外の投資銀行業務でも競争力低下が懸念される。株式・債券引き受けやM&A仲介業務、つなぎ融資など伝統的な投資銀行業務で獲得した手数料の世界ランキングを見ると、昨年、野村の獲得手数料は前年比34・5%減と会社別で最大の下落率を記録。順位は16位と三つ落とした。シェアも1・1%で0・5ポイント低下。やはり最大の落ち込みとなった(表参照)。


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