原発再稼働へ「前進」でも、関西電力が喜べない理由

原発再稼働へ「前進」でも、関西電力が喜べない理由

経済産業省・原子力安全・保安院が、関西電力・大飯原発(福井県おおい町)3、4号機のストレステスト(耐性検査)に下した、「妥当」の判断。その波紋が業界内に広がっている。

「今回の判断で、原子力発電の再稼働が認められたという理解はしていない」(井野博満・東京大学名誉教授)。判断に合わせ1月18日に開かれた専門家による意見聴取会は、「反原発」を訴えるプラカードを掲げた市民団体が委員に詰め寄るなど騒然となり、開始が大幅に遅れた。最終的に、傍聴者を締め出し別室で開催。もともとストレステストに反対していた井野名誉教授など、委員二人が抗議して欠席する事態となった。

ストレステストは原発再稼働の条件の一つで、これまで全国54基ある原発のうち14基の審査結果が保安院に提出済みだ。中でも大飯は原発依存度の高い関電の原発とあって、再稼働の有力候補の一つとして見られてきた。

今回の判断を受け、1月26日には国際原子力委員会(IAEA)が大飯原発を視察。保安院はこの助言等も踏まえ、2月中をメドに原子力安全委員会に報告書を提出する。その後、野田佳彦首相など4閣僚、さらに地元の了解を得て稼働を再開する算段だ。

再稼働無理なら大赤字

だが、保安院がゴーサインを出したものの、今後も波乱が必至だ。意見聴取会委員から判断の妥当性を問う声が出ている中、閣僚はともかく、地元の理解を得るのはそうとう難しい。実際、大飯が立地する福井県は「ストレステストは机上の調査にすぎず、再稼働の判断材料にするのは不十分」(西川一誠知事)としており、福島第一原発事故を踏まえた新たな安全基準を作るべき、と譲らない。事故後は、原発立地区だけでなく、近隣する京都府などの意見も無視しにくくなっている。

こうした中、再稼働「一番乗り」と目された関電の悩みは深まるばかりだ。

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