帝都復興の時代 関東大震災以後 筒井清忠著 ~「神話」の裏側に潜む後藤新平の実像に迫る

帝都復興の時代 関東大震災以後 筒井清忠著 ~「神話」の裏側に潜む後藤新平の実像に迫る

評者 塩田 潮 ノンフィクション作家

東日本大震災の発生で88年の歳月を超えて突如、蘇ったのが後藤新平である。関東大震災時に内務大臣として欧米流の都市計画による新都造営を提唱し、帝都復興院を実現した後藤が、歴史の彼方から再浮上した。

昨年11月刊行の本書は、関東大震災後の政治と社会意識の変化を、東日本大震災後の現在との対照という視点で検証・分析しているが、大きく分けると、前半の「後藤新平・復興院の挫折」「復興局疑獄事件」(1・2章)と、後半の「『天譴論』から『享楽化』・『大衆化』へ」(3章)の2部構成である。

関東大震災と復興のプロセスが社会、文化の面で以後の日本と東京に与えた影響について多角的に考究した後半も、示唆に富み、興味深いが、圧巻は前半部分だ。偶像化による「後藤神話」の裏側に潜む後藤の実像に関する詳細な記述に、読者の目は釘づけになるに違いない。

著者は後藤について「卓越した先見性は、(実現性はともかく)誰しも認めないわけにはいかないものであろう。しかし、その強引な政治手法は生前から度々問題にされており、失策も多い」(序文)と見る。後藤がつくった復興院はまもなく廃止になり、内務省の外局の復興局が復興の実際を担ったが、そこで疑獄事件が起きた。

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