明治大学が女性の再就職支援に乗り出した 「学部以上MBA未満」の知識を5カ月で

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修了要件は、必修科目72時間と選択科目48時間、合計120時間以上の講座を履修することだが、1日2コマ(10時30分~12時、13時~14時30分)、週4日で満たすことができる。受講費用は9万8000円。内容からすれば決して高い金額ではない。

「1期生は20代から50代まで幅広い年齢層の受講者が見られた。子育てや介護などの理由で数年もの間、家庭に入っていた人をはじめ、育休中の人もいる。このプログラムが、能力ある女性のみなさんの再就職に向けた一歩を後押しできればと願っている」(望月氏)。

修了生には大学の関連会社、明大サポートによる就業支援サービスを提供し、入学から実際の再就職までトータルでサポートする方針だ。

講義は14時半まで、宿題もなし

5カ月間のプログラムをともに受けてきた受講生たちはみな仲がよく、グループワークも盛り上がる。「プログラムの中で自分をさらけ出す機会も多かったので絆も深まった」という人も

履修証明制度とは、社会人が大学などで専門的な知識を増やし、その成果を職業キャリアに活かすという観点で創設された文科省が推奨する制度だ。明治大学ではこれまで、主に夜間のプログラムとしてこの制度に基づくプログラムを開設していたが、もう一度社会に出ようと頑張る女性を応援するため、2015年の春から平日昼間に受講する「スマートキャリアプログラム」を開講した。

家庭生活との両立がしやすいように講義は毎日14時半には終わる。宿題などの持ち帰りがないようにと、すべて時間内で講義が完結するように工夫されているのも特徴だ。1期生は42人。木村教授は「本当に有能な人たちが受講している。昼休みには受講生からの質問が殺到し、学びへの意欲の高さはMBAの学生と変わらない。ブランクの溝を知識で埋めて、力をつけて社会へと復帰してほしい」と語る。プログラムの途中ですでに就職が決まった人もおり、就職先として企業側の反応も上々だ。

9月には10月から始まる2期生の募集も始まっている。こうした取り組みは今後、女性の仕事ブランクを埋める場として、再就活女性、採用側の両者から期待が高まりそうだ。

宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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