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世界で通用する、共通言語となりうるMBA 慶應義塾大学の修士課程MBAプログラム

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社会の意識も変化している。1990年代には、リストラや能力・業績主義による終身雇用イメージが低下した。転職労働市場も拡大している。そのため、会社志向よりも、専門性を磨きたいというプロフェッション志向の人が増えているという。

また「マーケット需要・ビジネス・技術の環境変化が速くなっています。中央集権型の組織ではこれに対応できません。日本企業でもタスクフォースなど、状況に応じて柔軟に意思決定できるチームユニット型の働き方が、この20年で一般的になりました」

欧米、特に米国では職務ベースの人材マネジメントが一般的だ。プロジェクトが発足すれば職務に応じた人材が集められ、それが終了すれば別のプロジェクトに移ったり、人によっては他社に転職したりする。拠点の設置なども流動的だ。かつて、米国系の金融機関の多くが東京に拠点を置いたが、現在では上海やシンガポールなどに移している。異動したくない人材は転職せざるを得ない。

「日本で一般的な定期移動もいわば社内転職です。理論的には転職と同じく、労働市場における人的資源の調達と配分であり、それが組織を軸とするか、プロフェッションを軸とするか、の違いです」。

日本企業では、OJTなどを通じて、時間をかけて人材を育てるといった手法が一般的だった。このような従来型の人材育成はなくなっていくのだろうか。

「年功制にも職務制にもそれぞれ、メリット、デメリットがあります。二者択一にはなりません。日本企業では仕事の性質に応じて使い分ける、ハイブリッド型が多くなるのではないでしょうか。ただし前述のように、とにかく変化が早い時代、長い時間をかけて人材を育てるのは現実的ではなくなっています。生き抜く個人としても、スキル習得にくわえて、もっと長期にわたって変化の構造を読めるように幅広く深い見識を磨くことが、成長の定義となる時代ではないでしょうか」
企業にとっても、そこに勤める人にとっても、スキルアップの目標が重要になりそうだ。

「グローバル人材」の教育手法も
  進化し続けている

「グローバル人材」という言葉を聞くことが多くなっている。その定義は一つではないだろう。

大藪講師は「たとえば、海外に出て行ってものを売ろうとした場合、現地に支店をつくればいいかというとそういうわけではありません。ビジネスには必ず相手があります。交渉ごともあります。また、一人でできるものでもありません。国籍が異なる人とチームを組んで、一緒に課題を解決しながらプロジェクトを遂行できるのがグローバル人材だと言えます」

折しも、日本企業ではダイバーシティーへの取り組みも注目されている。

「ダイバーシティーの本質の一つは概念は、人材ポートフォリオです。かつて、社員と言えば、男性・総合職・正社員を差しました。女性や一般職、非正規社員は補助的な位置付けでした。現在は、政策の後押しもあり、学歴、性別、国籍などを問わず、また、正規・非正規を問わず、多様な人材を本格的に戦力化しようとする企業が日本でも増えています」

定年延長による高齢者の活用も進みつつある。多様な人材をチーム化して生産性を向上させることも、これからのビジネスリーダーには欠かせない役割になる。
「ここでは、かつてのように、『オレについてこい』といったマッチョ(男性的)なリーダーシップではなく、『サーバントリーダーシップ』など、支援を通じて個人の主体的な協力を促す『柔らかい』リーダーシップが求められるでしょう」

大藪講師によれば、このようなリーダーシップ論や教育法も、この20年間で大きく進展しているという。

「毎年のように新たな概念が生まれています。グローバルに活躍するビジネスリーダーは、スキルアップについても、世界の最先端の情報や手法をキャッチアップしています。日本のビジネスパーソンにも、ぜひ乗り遅れないようにしてほしいと願っています」

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