日本の不動産業界 経済低迷に伴い、高水準の空室率と賃料下落が継続《ムーディーズの業界分析》

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新しいビルに対する需要は改善する一方、古いビルに対する需要低下が加速

3月11日の大震災以降、耐震性の高い新しいビルに対する需要が高まっている。この動きは、新しく高品質なビルを保有する格付け対象の不動産会社やJ-REITの空室率および賃料への影響を緩和する可能性があるであろう。その反面、古く品質の低いビルの需要は低下するだろう。

個人消費の低迷が商業施設の収益を圧迫

オフィス以外のセグメントにおいても、日本経済回復の遅れの影響を受けるであろう。たとえば、多くの商業施設の業況は、弱い個人消費を反映して低迷が続いている。このため、テナントによる賃料値下げや解約要求が高まる可能性があろう。

厳しい雇用環境が住宅市場の重しに

住宅賃貸市場については、ここ数年稼働率と賃料の下落が続いたが、足元では安定化してきている。しかしながら、厳しい雇用環境を踏まえると、稼働率と賃料の改善を見込むのは困難であろう。一方、住宅販売市場(主に都心部のマンション分譲)については、低金利と優遇税制が需要を下支えするものの、日本経済低迷の影響で、マンションの販売戸数と販売価格に影響が及ぶ可能性があろう。

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