自衛隊のコスト、航空機や戦車、艦艇などを開発・製造する防衛産業の実態とは

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しかも、前述のように研究段階から企業がコスト負担する構図が残る中で、従前からかかわっていた企業が競争入札により落札できないこともありうるなど、企業努力が必ずしも報われない事例が防衛産業の構造的問題としてあるようだ。

こういった問題はすでに10年以上前から指摘されてきたことだが、改善に向けた防衛省側の行動は遅かった。防衛省内に「契約制度研究会」「戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会」「防衛生産・技術基盤研究会」といった研究会が設置され、防衛省と防衛産業の関係を改善・発展させる議論が本格化したのは、この1~2年のことである。

軍隊というものは本来、ないに越したことはない。ただ、世界の状況や中国、朝鮮半島情勢などの日本を取り巻く環境を考えれば、日本だけが軍備を持たないわけにもいかない。

自衛隊の本来の目的は、国民の生命と財産を守ること。防衛産業は、その目的を支える重要な役回りである。
 
 『週刊東洋経済』2012年1月21日号では、防衛産業のありのままの姿と課題を探った。

(週刊東洋経済2012年1月21日号より 撮影:ヒラオカスタジオ)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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