調剤のポイント付与が一転禁止に ドラッグストア各社の次の手

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別の方策探る動きも

ドラッグ各社にとって調剤事業の魅力は大きい。値引き競争が激化する中、利益率の高い調剤事業の成否が業績拡大のカギを握るほか、優秀な薬剤師を確保するうえでも重要なアピールポイントとなる。こうした中、ポイント制度導入は調剤利用者を増やすうえでの武器になってきていたが、業界ではすでに「次の一手を考えているのでは」(調剤チェーン関係者)との声も聞こえる。現に、介護施設からの調剤一括請負など、別の方策で顧客獲得を探る企業も出てきている。

一方、これまでポイント付与の恩恵をあまり受けていなかった調剤各社は今回の決定を前向きに受け止めている。

そもそも国際会計基準が導入されると、ポイントは現状の引当金から値引き処理に変わる。健康保険法では調剤の値引きは禁止されているため、ポイント付与はできなくなる可能性があり、各社は次を見据える必要がある。ポイント競争が一段落しても、調剤チェーンやドラッグ各社による処方箋争奪戦は一段と激化しそうだ。

(長瀧菜摘 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年1月21日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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