中国が「グリーンカー」を推進する事情 自動車産業強化に向けてアメとムチ

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中国汽車工業協会(CAAM)が10日発表した1─8月の電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車(HV)の販売台数は270%増の10万8654台となった。LMCオートモーティブによると、今年の生産台数は13万台を超え、米国を抜いて世界最大となる見通し。

中国政府は新エネルギー車の年間生産台数を2020年までに100万台とする目標を設定した。ただ、調査会社IHSオートモーティブは20年には79万1000台程度と予想している。

アメとムチ

アメに関して言うと、例えば上海では、環境対応車用ナンバープレートを取得し、その他の補助金も受け取ることで、従来のガソリン車より最大18万2600元(2万8600ドル)の得になるとの試算がある。

ただ、補助金はいずれ縮小され、燃料効率の規制強化というムチにしだいに軸足を移すとみられる。

国内メーカーは先頭に立ってグリーンカーへの投資を拡大し、吉利汽車(ジーリー)<0175.HK> や長城汽車<601633.SS> <2333.HK> などの大手は第三者割当増資による資金調達や、新エネルギー車専用の工場建設を進めている。

海外メーカーでは米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>が上海汽車(SAIC)<600104.SS>との合弁事業において、265億元を新エネルギー技術開発に投じ、2020年までに電気自動車の比率を高めると4月に発表した。

グリーンカーの市場シェアは公式発表されていないが、国内ブランドが売り上げ上位を占めているようだ。

中国乗用車協会(CPCA)によると、プラグインHVでは比亜迪汽車(BYD)<002594.SZ> <1211.HK> の「QIN」(秦)が、EVでは北京汽車工業<1958.HK>の「Eシリーズ」が首位を走っている。

トヨタ自動車<7203.T>は年内に「プリウス」に似た低価格ハイブリッド車を、中国向けに開発して投入する構え。

米テスラ・モーターズ<TSLA.O>の広報担当者は、今年のアジア太平洋地域の売上高が第1・四半期に比べて第2・四半期はほぼ倍増したと述べ、中国のEV市場に対しても楽観的な見通しを示した。

この担当者は「EV車についての知識が広がれば、大量消費市場になるのは間違いないだろう」と話した。

(Jake Spring記者 翻訳:長谷川晶子 編集:加藤京子)

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