「モバイル広告」の明暗を示す5つの未来予測 眠っている金脈は250億ドルにも及ぶ!?

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4.モバイル広告市場を寡占する、GoogleとFacebook

アメリカにおける、モバイル広告収益の内訳

先述のマーケットリサーチ会社のeMarketerの調査によると、モバイル広告収益はむらなく全体に分配されてはおらず、Google(上図:緑の棒)とFacebook(上図:濃紺の棒)だけに、約半分の収益が割り当てられている。2015年の予測だけを見ても、アメリカのモバイル広告収益全体が280億ドルであることに対して、Google(34.9%)とFacebook(17.1%)だけで52%のシェアを獲得。次点の競合であるTwitterは4.6%、Yahoo!は4.1%にとどまった。この傾向はほぼ変わらないと予測されている。

モバイル利用時間と広告出稿額のギャップ

5.しかし、モバイル広告の可能性は、250億ドル以上?

各メディアの接触時間と広告出稿額の比較

だが、ここでモバイル利用時間と広告出稿額のギャップに関する興味深いデータを紹介しよう。ベンチャーキャピタル企業Kleiner Perkinsのアナリスト、マリー・ミーカーのインターネットトレンドレポートだ。アメリカ人は、メディアに触れる時間の24%をモバイル端末に割いているにもかかわらず、全体の広告出稿額に対してモバイル出稿はわずか8%。これは250億ドル(約3兆円)のギャップを生んでいると見られている。なお、新聞への出稿額は全体の18%もあるが、新聞に触れる時間は4%しかない。

利用時間に対して、250億ドルも低く見積もられるモバイル広告費。しかし、たとえそのギャップを埋めたとしても、半分はGoogleとFacebookに分配されてしまう状況は、健全であるとはいいがたい。そのうえ、成長の鈍化も予測されているこの分野。楽観的な要素だけが転がっているわけではなさそうだ。

原文:Ricardo Bilton / 訳:片岡直子)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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