「金王朝」の維持が最優先、独裁が続く北朝鮮

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意外なほど静かな反応だった。昨年12月末、金正日総書記死去が伝わった後の韓国。1994年の金日成主席死亡時には、国民によるラーメンや水の買い占めが起きるなど騒動が起きたが、今回は落ち着いた反応が多かった。

ソウル駅前の大型スーパーをのぞいてみると、「ラーメンがよく売れているが、買い占めといえるほどではない。外国人観光客も多い」と店員は話す。市内の旅行代理店も、国内外の観光客による「目立ったキャンセルは出ていない」と安堵する。

12月19日の株式市場では、総合株価指数(KOSPI)は前日比3・43%下げたものの、翌日にはほぼ19日以前の水準に戻した。外国為替市場でもウォン相場はいったん下げてから、すぐに回復。2010年に発生した哨戒艦沈没事件や延坪島砲撃事件後の動きと同様で、市場関係者はむしろ「欧州の金融危機の影響が心配」と関心は薄い。

集団指導体制に疑問 「金王朝」の継続か

08年に脳卒中で倒れて以降、つねに健康不安がささやかれていた金正日氏に対し、韓国はある程度覚悟ができていたともいえる。また、94年から十数年経ち、北朝鮮に対する情報や知識が増えていたこともあって、国民は冷静に受け止めたようだ。

北朝鮮では元旦に今年の北朝鮮指導部の施政方針を示す「共同社説」が発表されたが、「目新しいものはない」と北朝鮮に詳しい慶応義塾大学の礒崎敦仁専任講師は指摘する。「(金総書記の)遺訓を継承」「(後継者である)金正恩体制を決死擁護」などと打ち出しているが、その意図するものは「金総書記がやってきたことを受け継ぐという意思表明がされた程度」(同氏)と見る。 

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