【産業天気図・家電/AV】薄型テレビの価格下落が予想以上。先行きに不透明感

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家電・AV業界の今9月中間決算は、電池発火問題やプレイステーション3の量産遅れが響いたソニー<6758.東証>を除き、堅調だった。しかし、第3四半期(10~12月)は非常に不透明になってきた。最大の懸案事項は薄型テレビの価格動向だ。「予想以上に価格の下落が早い」というパイオニア<6773.東証>の石塚肇専務の認識は、各社に共通する。
 焦点は世界最大のテレビ市場、米国。ここに来てプラズマ陣営の苦戦ぶりが明らかになっているのだ。従来、薄型テレビは30インチ台までは液晶、それ以上はプラズマという暗黙の棲み分けができていた。が、それも今は昔の話。技術向上で液晶も大型化が可能になり、ソニー、韓国サムスンなどが相次いで40インチ台の液晶を投入してプラズマ市場を侵食している。このためプラズマ陣営の松下電器産業<6752.東証>、日立製作所<6501.東証>、パイオニアは今07年3月期の出荷台数を期初見通しから引き下げざるを得なくなっている。
 その対抗策が価格競争だ。特に北米でプラズマシェア最大の松下は価格引き下げで数量を伸ばす戦略で、すでに同社の42インチプラズマは12月初旬で1500ドル前後と、8月から4割以上下落している。プラズマが価格を下げれば、対する液晶陣営のソニー、シャープ<6753.東証>も黙ってはいまい。特に12月は業界にとって、年間でも最も需要が見込める時期。一段の競争激化は明らかで、各社、消耗戦になるのは間違いない。
【中島順一郎記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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