35歳で「はしご外されない」女子社員の生存術 女の活躍には「男が疲れすぎない社会」が必要

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「冷蔵庫を開けたら、マヨネーズの賞味期限が切れていたんです。マヨネーズの賞味期限が切れたのを見たのは、人生で初めてでした。その時、『私はこういう生活がしたかったわけではないな』と思いました。

仕事とプライベートを天秤にかけたわけではないのです。ただ、そのときに私は自分が仕事をする上で大事にしたいと思っていることを考えました。それは、『一緒に働く人のことを大事に、幸せにしよう』ということや『世の中にインパクトを与えていくこと』です。そしてそれは、世界のどこにいてもできることだと思いました。だからこのとき、日本に帰ろうと思ったんです」

この経験から、柏村さんは「女性は迷うことも多いけれど、最後の最後には大事なものを選べるから、ギリギリまで欲張ったらいい」と言います。

「後輩女性の話に相談に乗ると、結婚する前から『妊娠したら仕事をどうしよう。今頑張っても無駄になるのかも』と悩んでいたりします。でも、決断に迫られる事態に陥ったときは、意外にきちんと判断できるもの。だから決めなければいけない段階が来るまで、仕事もプライベートも欲張った方がいいと思います」

働き続けるための「スキル」と「場」

「突然はしごを外される」までにスキルをつけておくことは重要です。そして、スキルをつけると同時に重要なのは、自分自身で「場」をつくっておくことでしょう。

「スキル」と「場」は両輪。せっかくスキルがあっても、そのスキルを認めてくれる場、活かせる場がなくては。たとえば、働きたいしスキルをつける意志があっても、男性管理職ばかりの会社で「私がスキルを身に着けたところで、それが男性と同じように評価されるの?」と漠然とした不安を抱えている女性もいるでしょう。

8月28日と29日に行われた日本政府主催の国際シンポジウム「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(WAW! 2015)。私も登壇者として参加しましたが、ここでは、「男性と共に変化する」というという面白いテーマで論じていたグループがあったのが印象的でした。

このグループではオーストラリアの有識者が興味深い事例を披露していました。オーストラリアでは、「Male Champions of Change(変革を担う男性チャンピオンの会)」を起ち上げ、影響力の強い男性を集めて女性活躍推進の活動を行ったのです。

集まった男性は、大手企業CEOや、中には国防軍参謀長も。彼らは、会議が行われる際に「そこに女性は何人参加しますか?」と聞き、女性が極端に少ない場合には「出席しない」という対応をするまでになったのだとか。

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