仕事でうまくいきたいなら「類人猿」から学べ ゴリラ上司とボノボ部下が分かり合うには

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――なるほど。確かに「また一緒に仕事できたら……」は、ボノボ部下にはうれしいでしょうが、オランウータン部下に言っても、まったく効果がなさそうですね(笑)。

岡崎(和):まさにそうで、上司の側が「自分が言われてうれしいこと」で、よかれと思って声をかけていても、それが相手にはまったくピンと来ない場合があるのです。でも、部下の特性を知って、ちょっと工夫すれば、ずっと効果的になります。

――非常に面白いのですが、職場の人間関係構築に用いるツールとして、たとえば「あいつはゴリラだから頭が堅い」とか、ネガティブな方向に多用されることはないでしょうか。エブリイではどうでしょう?

岡崎(:私たちとしては、社内のものも含めセミナーではいつも「どの類人猿がすごい」という観点での話はしません。社内でも、社長発信で「4タイプいるからこそ、類のない会社に出来る。それぞれが活躍できるのがいい会社」と、はっきり打ち出しています。そういう定義づけを先にしておくのは重要かもしれません。

エブリイが伸びている背景には、「戦略」と「人材」という2つの軸があります。「人材」の中では、社員同士の協力関係に基づいて会社の組織体を作ろうという目標があって、それに対するアプローチの一つとして「類人猿分類」を使っています。

はじめは違いを知って、驚くだけでいい

岡崎(和):もう一つ、「人間力アップ」を目指す、心理学の手法を取り入れたアプローチもあります。会社なので、「このために事業をしている」という目的がありますね。そこをいつも明確にしながら、達成するためにどうしたらいいかを考えるもので、こちらは1年かけて、幹部を中心に20人くらいの少人数で学んでいく形をとっています。

――「類人猿分類」だけではなくて、複数のアプローチを噛ませながら進めることで、成長し続ける土壌を作っていると。

岡崎(:まあそうは言っても、僕らの大儀としては、最初はただ単に「4タイプ」を知って、驚いてもらうだけでOKと思っています。

岡崎(和):セミナーでも最初のほうは「チンパンジーの考え方はわけわからん。苦手!」と言っているボノボさんなんかがいますが、不思議と、皆さんそこで終わらずにもっと知りたい、先に進みたいと思ってくださる。そういう魅力もあるのだと思います。

――新刊も出ますが、今後の展望はどうお考えですか?

岡崎(真):今はセミナーの講師をやっているのが僕しかいないので、社内体制を整えて、もっといろいろなところでセミナーを出来るようにしたい。僕はチンパンジーなので、同じことを繰り返すのにはモチベーションが上がらないんですよ。ゴリラさんだと、そこは建設的にブラッシュアップする方法を考えられると思うのですが(笑)。

 

類人猿分類セミナーの今後の開催予定については、「類人猿分類特設サイト」にてご案内予定です。

 

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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