技術の文書化で次世代につなぐ、タダノのクレーン作り

技術の文書化で次世代につなぐ、タダノのクレーン作り

建設用クレーン大手のタダノは、技術の文書化に取り組んでいる。巨大クレーンの製造に必要な高度な技術は、従来、先輩の技を盗むことで職人から職人へと受け継がれてきた。その伝承方法が今、変わりつつある。

タダノが得意とするのは、550トン吊りのオールテレーンクレーンをはじめとした大型建設用クレーンだ。大型になればなるほど、ブームと呼ばれるクレーンの腕部分の強度が必要になる。タダノは基本的に協力工場や外部から調達した部品を組み立てているが、クレーンの品質を左右するブームは頑として自社製を貫く。

大型クレーンのブームに使われるのは、橋や船に使われるものよりも強い、高張力鋼板だ。この鋼板2枚を溶接してクレーンの腕を形作っていくのだが、その強度ゆえに割れたり、ひずんだり、もとの形に戻ってしまったりしやすく、生半可な技術では扱えない。

「ブームの溶接技術など、容易にまねできない職人技がタダノの強みでもあり、弱みでもある」と開発部門を担当する西陽一朗・取締役執行役員常務は話す。近年台頭してきた中国メーカーには丈夫で安全なブームを溶接する技術がなく、クレーンの品質に大きく影響する出荷前の微調整も粗雑。「中国メーカーの製品を1回買って、もう2度と買わないと言っているお客様も多い」(西常務)という。タダノの職人技は中国の競合を突き放す武器になっているのだ。

一方で、職人にしかできない技術は、肝心の職人が育たなければ途絶えてしまうという危うさをはらむ。タダノでは国の「現代の名工」に選ばれる技術者を輩出するほど卓越した技術が受け継がれてきたが、実はその継承が数年前まで危機に瀕していた。1990年代、不況のあおりを受け、人材の採用を凍結した時期がある。その結果、中堅技術者となっているはずの層がすっぽり抜け落ちていたのだ。

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