急成長するアジアIT市場、同じ巨大新興国でもこんなに違う中国とインド

拡大
縮小

インドでの人気サイトはYouTubeにFacebookと、アメリカ発のサービスばかりで、インドのニュースサイトにしても英語のニュースサイトがほとんどだ。地域を股にかける比較的成功したインド人同士は英語混じりの言葉で会話ができる。結局、パソコンに触れ、インターネットを活用しようとする人は、英語ができる人ということになる。インドのパソコン市場はすなわち英語のできる層となり、そうした人はそれなりに給料をもらっているので、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンが売れている。

またスマートフォンに関しては、中国ではメンツを満たすかどうかがカギとなり、買ったら買ったで遊んでばかりだ。しかし、インドでは、IT製品はホワイトカラーにとっての実用的なビジネスツールであり、サムスンのGalaxyやQWERTYキーボードのブラックベリーが、iPhoneより売れているという結果が出ている。

中国ではAndroid搭載スマートフォンの普及にゲームの役割が大きかったが、インドではゲームの牽引力はそう大きくはない。中国のようにゲームがAndroidスマートフォン普及の起爆剤にはならないだろう。



■インドのさまざまなメーカーの製品が購入できる家電ショップビル


 中国とインドは、いずれも膨大な人口を抱える新興国だ。ただ、社会の仕組みは異なっており、巨大な新興市場というだけでは、IT市場がどのように拡大するか予想できない。「中国が経済発展した」→「だからIT小売市場も大きくなるだろう」→「インドも中国と同様に市場が大きくなるだろう」という予想だけでは不十分なわけだ。
 
 それぞれの国の状況を少しでも知っておかなければ正確な予想はできない。経済成長するにつれ、カネを持った世代から家電が普及していくとは限らない。中国の中高年にはIT製品に対するモチベーションの壁があるし、インドのIT製品の普及には言葉の壁があるのだ。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT