新生「コンコルディア」、進撃に2つの課題 横浜銀と東日本銀の経営統合が最終合意

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拠点を増やすのは、横浜銀行が個人向け取引の拡大、東日本銀行が中小企業向け取引の拡大を狙っているから。横浜銀行は、預金や貸し出しはもちろん、投資信託や保険といった資産運用商品の販売力も強く、顧客基盤には個人の富裕層も多い。傘下には浜銀TT証券もあり、外債・仕組債なども含めた投資型商品の品ぞろえも充実している。富裕層の多い東京で、こうした商品力を生かし、資産家向けコンサルティング営業を強化する。

東日本銀行は、中小企業取引に強みがある。近年、取引先の海外進出が加速しているが、東日本銀行に海外拠点はない。横浜銀行は上海支店のほかニューヨーク、ロンドン、香港、バンコクに駐在員事務所を持つ。このネットワークを活かして、取引先の海外進出を支援する。また、横浜銀行の強い資金調達力を背景に、中小企業に対して、よりリスクをとった融資を開拓していく方針だ。

狙い通りに実現できるか

横浜銀行の寺澤頭取は9月8日の会見で、都内への積極展開を強調した。

では、一連の施策を狙いどおりに実現できるのか。たとえば出店。資金需要が盛り上がらない地方に比べて”肥沃”な東京都内には、各地の地方銀行がすでに数年前から進出を加速しており、「支店を出すのにいい物件がなかなか見つからない」(北関東の地銀幹部)、「これまで取引のないエリアに進出し、その地域とは違う地方色の銀行名で営業しても、成果は上がりにくい」(別の北関東の地銀幹部)といった声が聞かれる。

横浜銀行は、すでに城南地区で10店程度構える一方、多摩地区には1店しかない。それだけに、多摩地区の拡大余地が大きいが、適切な出店場所を確保し、横浜銀行のブランドを浸透させるには時間がかかるだろう。

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