繰り返される、議院内閣制・政党政治に対する国民の不満と失望

繰り返される、議院内閣制・政党政治に対する国民の不満と失望

塩田潮

 「経営危機で年が越せるかどうかの瀬戸際の瀕死企業、という感じの民主党政権の年の瀬だ」と去年の12月27日にこの欄で書いた。

 それから1年、未曾有の大震災と原発大事故、政権担当能力も危機対応力も欠如した菅首相の退陣、野田首相の登場という展開となる。民主党はトップをすげ替えて再スタートしたものの、衆参ねじれの常態化、財政危機下の綱渡りの予算編成、首相の指導力不足による支持率低落、無力政治を見透かした官僚主導の横行、消費税増税をめぐる党内対立の再燃など、政治の状況も政権の構造も1年前とほとんど変わらず、11年末も「瀕死企業の民主党政権」という年の瀬となった。

 民主党政権の再建はならず、1年を空費したというのも大きな損失だが、そのツケは民主党政権の衰退だけにとどまらない。26日発表の朝日新聞の世論調査で、国民投票の対象について、「広げたほうがいい」が73%、首相の選び方も、「国民の投票で選ぶほうがいい」が70%に上った。大震災と原発事故に伴う危機対応型リーダー待望論や、橋下大阪市長主導の大阪ダブル選挙の影響も大きい。

 だが、それ以上に、議院内閣制と政党政治に対する国民の不満と失望が政治を突き動かすエネルギーとなりつつあることを実感させる。

 有権者は09年、代議制民主主義の下で「もう一つ政権交代というカードがある」と強く意識して、失政続きの自民党を見限り、民主党に政権を託したが、2年余の実験の末、「自民党も民主党も同じ。政権交代カードは切り札ではなかった」と思い始めている。

 来年は消費税増税と衆議院の解散問題が政治の回転軸となりそうだが、併行して代議制民主主義の再検討と代わるべき新システムの模索がテーマとして浮上するかもしれない。憲法問題にまで踏み込み、直接民主主義型への転換という議論に発展する可能性がある。

 だが、一足飛びにそこに進む前に、代議制民主主義の再生の試みが必要だろう。ねじれ常態化回避の制度改革も重要だが、代議制民主主義の下で強力な指導者をいかに育成・輩出するかがカギとなる。

 野田首相は「強力な指導者」に変身を遂げるかどうか。
(写真:梅谷秀司)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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