2000億円を動かした移籍代理人の超絶仕事術 世界のサッカーを動かすメンデス氏を直撃

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これまでに何度かメンデスにインタビューを行ったことがある。今夏も、移籍市場が慌しくなる前に、ポルトにある彼の事務所で話を聞くことができた。

サッカー界を陰で動かす男の言葉からは、サッカービジネスにおけるさまざまなヒントが見えてくる。

① 「有能な人材は年齢に関係なくつかまえろ」

メンデスは年齢で選手を見ない。有能だと思えば、たとえ10代であろうと無名だろうとその選手の才能にかけ、最も適したクラブに売り込む。

「年齢は重要ではないのです。むしろ才能ある若者は、チャンスを与えられるべきだと私は考えています。今はパリ・サンジェルマンでプレーするチアゴ・シウバや、チェルシーのジエゴ・コスタは、私が知り合った頃はまったく無名の存在でした。しかし私は彼らに才能があると感じた。そんな選手たちが、世界のトップクラブで活躍しているのを見るのは、エージェントとして何よりもうれしいことのひとつです」

最近では、メンデスは17歳のルーベン・ネベス(ポルト)と契約。昨年はベンフィカで控えだった20歳のベルナルド・シウバに目をつけ、今年1月に1500万ユーロでモナコに売却した。ポルトガル2部リーグのリオ・アベにいたファビオ・コエントランに会いに行き、2年後に3000万ユーロでレアル・マドリードに移籍させたのも有名な話だ。コエントランは「メンデスがいなければ今の僕はない」と語っている。

「いま、個人的にいちばんのオススメは、モナコのベルナルド・シルバです。あれはものすごい才能です。知り合った時17歳だったルーベン・ネベス(ポルト)も非常にいいものを持っている。そしてアトレティコ・マドリードのGKオブラク。彼らは無名だったことで、誰もが移籍当初は疑問を投げかけられました。しかし私は自分の直感を信じた。すべては賭け、重要なのは信念と決断力です」

若手の才能をどう伸ばしていくのかが重要

無名の若手との契約には、当然失敗のリスクもついてくる。才能を見抜いてサポートし、移籍させたとしても、そのクラブで出場機会がなければ成功とは言えない。若くして騒がれたもののやがて消えていった選手を、メンデスは多く見てきた。

「若手の才能をどう伸ばしていくのか。重要なのは環境、そして彼らの上につく人が重要になる。サッカーでいうと、決定的なのは監督です」と彼は言う。

「クラブのネームバリューや年俸は二の次だと考えています。まだ若く、ポルトガル国外ではほとんど無名だった頃のクリスティアーノ・ロナウドを見た時には、彼の才能を確信しました。数年後には多くのクラブのオファーが私の元に届いた。あの時に決め手となったのは、若手にかけてくれる監督がいたということです。それが、マンUのアレックス・ファーガソン監督でした。複数のオファーからマンUに決めたのは、ファーガソンが『全試合数の最低50%でロナウドを出場させる』と保証してくれたからです。18歳の選手にそれを保証してくれる監督は、ほかにはいなかった。日本の選手も、移籍の際に何よりも重視すべきは監督です。まずは監督と話し、彼の考えや哲学を知るべきです」

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