トレンド発信地!タイで探る「次に来る流行」 日本で次に流行るのはどれだ?

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小

周囲で日本のネットゲームをやる友人は、40人のクラスで3〜4人ほど。男子には、これまた日本で大人気の『艦隊これくしょん』が人気とのことでした。40人中3〜4人はまだまだ多いとはいえませんが、『とうらぶ』も『艦これ』も日本語版しか存在しないのに一定の人気を得ていることを考えると、潜在需要はかなり多いと見てよいのではないでしょうか。タイにおける日本のオタクコンテンツニーズは、まだまだ伸びしろがあるように思います。

タイは日本より流行が早い?

いかがだったでしょうか。日本にもう存在するアイテムもいくつか混じっていますが、多くは日本の市場であまり見かけないものです。実際、自撮り棒は日本よりタイのほうが早くブレイクしました。2、3年前、まだ日本に自撮り棒が入ってきていない頃、われわれはタイで自撮り棒を見かけたのですが、恥ずかしながら当時は「ダサいものが流行ってるなあ」などと言っていたものです。その後日本で大ブレイクするなんて、夢にも思いませんでした。

なぜタイのトレンドは日本より早いのか。理由のひとつが、海外からの観光客が多いことです。

日本は1億3000万人の人口に対して年間の観光客が約1341万人(2014年/日本政府観光局)ほどですが、タイは6700万人の人口に対して約2950万人(2015年見込み/タイ観光協議会発表)も来ます。このようにして欧米ほか韓国や日本など世界各国から集まったトレンドを、感度の高いタイの若者たちが自国流にアレンジしてはやらせるのです。彼らは情報を取捨選択して自分たちのものにする能力に長けており、常に世界中のカルチャーにさらされているので目も肥えています。

また、タイの若者の間にはスマホとSNSが爆発的に普及しているため、SNS受けしやすい「見た目ではっきり差別化されている商品(充電コードのデコや観葉植物型のアイスクリームなど)」がヒットする傾向にあります。SNS拡散力が高いので、企業が若者トレンドを商品開発に反映しやすいという強みも忘れてはなりません。

国内の若者消費を増大させたい日本企業は、タイに学ぶべきところも多い気がします。たとえばテーマ型ショッピングモール。現在、日本における郊外型の大規模ショッピングモールは飽和状態で、規模追求型の出店は限界に達しています。それゆえ発想を転換し、「ロンドン」や「雪」のように、コンセプトに特化して集客を試みるのも一考ではないでしょうか。

今回紹介したアイテムの中から、「次の自撮り棒」が生まれるかもしれません。その意味では、今後の日本における若者消費を考えるうえで、タイの動向をつねにフォローしておいて損はないでしょう。

(構成:稲田豊史)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

この著者の記事一覧はこちら
小祝 誉士夫 TNC代表取締役/プロデューサー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

こいわい よしお / Yoshio Koiwai

TNC代表取締役/プロデューサー。70カ国、200地域に長期滞在する500人の日本人女性がリサーチャーとして現地のライフスタイルやトレンドを詳細リポートするサービス「ライフスタイル・リサーチャー」を運営する。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT