保有する知的財産を洗い出し、有効活用の方法を探れ

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 もう一つ、重要なポイントがある。オープンイノベーションによる開発・技術提携は、それだけにとどまらず、その後に続く製品化や、それに先立つマーケティング、販売戦略という一つの事業戦略全体と密接に結び付いている。しかもコントロールできないパートナーとの共同作業を通して、最終的には自社の収益につなげなければならない。

これらすべてを統括しうまく運ぶ仕掛けを作るために、さまざまな窓口を通して交渉し、行動しなければならない。この点で、人材育成の側面も見逃せない。

人材育成は技術活用テコに

新規事業である以上、リスクを伴う。「製造業が陥りがちなのは、技術や製品に主眼を置きすぎ、人材育成の観点を見失うこと」と前出の西尾氏は言う。「リソースのない中で、自らビジネスを作り上げていくことにより鍛えられる。

失敗したとしても次に生かせばいい。ある意味、帝王学のトレーニングになりうる。日本企業の中でも、商社にはそうした文化があるが、製造業にはほとんどない」と見る。むしろうまくいかなかった場合には失点と見なすため、思い切った手が打てないということになりかねない。

人材育成の観点を取り入れたり、リスクの許容範囲をあらかじめ設定しておくなど多角的な配慮が必要だろう。

※写真はホンダの開発するASIMO、本文とは関係ありません 撮影:風間仁一郎

(シニアライター:小長洋子 =週刊東洋経済2011年12月24-31日新春合併特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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