「数字に弱い人」は人生でだいたい損している だまされないために4つのポイントを知ろう

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【③ 一瞬ではなく、期間でとらえよ】

たとえば商品A(単価1000円、利益率50%)と商品B(単価1000円、利益率10%)があったとする。さて、あなたならどちらの商品に力を入れて売るだろうか。利益率だけを見るとAの方が高いので、「そりゃAに決まっているでしょう」と答えそうになる。

だが、もし商品Aが1カ月に1個しか売れない商品で、商品Bが1カ月に200個売れる商品だったらどうだろう? いくらAに販促コストをかけても、商品の特性上、無駄足に終わるかもしれない。「私たちはつい、物事の利益を瞬間的に考えがちだ。だが、ビジネスでは商品の特性を考えて、中長期的な判断をすることが重要になる。“いつからいつまで”という考え方をもって数字を見てほしい」(深沢氏)。

データのばらつきはないか?

【④ 平均値に気をつけよ】

専門的には統計学の分野になるが、簡単に言えば「データのばらつきを気にしよう」ということだ。平均値は「データのちょうど真ん中の値」だと考えがちだが、データの分布によっては、平均値にあまり意味がない場合も多い。

たとえば数値が大きい方と小さい方に極端に偏っていて、平均値に相当するデータはほとんどない、という場合もありえる。その場合は、平均値よりも最頻値(すべてのデータを集めたときにもっとも頻繁に出現する値)や、中間値(すべてのデータを小さい順、または大きい順に並べたときに中間に来る値)で議論をしたほうがいいかもしれない。

「平均値によって、データのばらつきを隠していることもあるかもしれない。隠れているものを見るには、データをもとにエクセルなどでグラフを作ってみるといい」(深沢氏)。もし平均値の前後にボリュームゾーンがあれば、平均値で議論してもかまわないということになる。

 

以上で紹介した4つのポイントを踏まえれば、ビジネスシーンで誰かに資料やグラフなどを見せられた時にも、根拠となる数字を批判的に眺め、本質的な議論ができるようになるはずだ。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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