ゴルフのテレビ中継がつまらなくなった理由 価値観を変えたネットが新しい流れをつくる

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ゴルフのテレビ中継に「ライブ」が少ないワケは?(写真:digi009 / PIXTA)

スポーツのテレビ中継で、生中継が少ないのがゴルフだ。野球だってサッカーだって、テレビ中継の基本はライブ。オリンピックも世界陸上も生中継だから醍醐味があって、見逃したくないとも思うファンも多いはずだ。

だが、ゴルフは以前から録画中継が基本だった。

理由はいろいろあるだろう。ゴルフ場という広い空間、ゆったりとプレーする選手たちを映すときに、どういう展開になるかわからないハラハラ感を出すのは難しい。規定ホールで勝負がつかない延長戦であるプレーオフにでもなったら、いつ終わるかわからない、なにより、主催者が優勝者に賞金を渡す表彰式をテレビで見せたい。さまざまな要因があって「録画中継」という歴史になってきた。

ゴルフ人気が絶頂期だったAON(青木功、尾崎将司、中嶋常幸)が活躍した1980年代すら録画中継だった。それでも10%以上の視聴率を稼いだトーナメントはいくつもあった。

インターネットの普及で録画中継がつまらなくなった?

当時と今の最大の違い、それはインターネットの存在だ。昔は試合展開も結果もわからない状態で見るので、録画中継でも十分、「生」の感覚を味わえた。

ところが、今は試合が終了すると同時にメディア各社が試合結果をまとめた記事をネット上に配信する。優勝者が誰で、どのような展開だったのかなどの情報が、すぐに駆け巡る。テレビ中継が始まる頃には優勝者がわかった状態になっている。

当たりとわかっている宝くじなら買いたいが、勝者やある程度の展開がわかっている試合を見る心境はどうだろう。どんなに接戦になっていても、放送終了時間が近づいていたりすると、「ああ、これはプレーオフにならずに決着するんだろうな」などということが推測できてしまうこともある。

筆者が新聞記者時代にプロ野球の巨人を担当していた頃は、熱烈な巨人ファンは中継を見て、勝ったときは深夜のスポーツニュースで余韻に浸り、翌朝のスポーツ新聞で納得する、という話を聞いたことがある。それは阪神ファンも同じだが、そもそも勝者がわかった試合を見てあまり楽しいとは思えない。

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